第43章 姉妹の絆
「こんにちは、お待ちしておりました。……?!」
寮母は扉を開けてエルドとクレアの顔を見ると笑顔で挨拶をしたが、2人が私服ではなく兵服を着ていた事、そしてフレイアの姿が見られない上に初対面の兵士が1人一緒に訪問してきた事に察しがつくと、笑顔を消して3人を応接室まで案内をした。
「あの…今マリアを呼んで参りますのでこちらでお待ち下さい。」
応接室に案内させられるのは初めてだった。
寮母には、これからマリアに話す内容が分かってしまっていたのだろう。
マリアの心情を気遣って個室に案内したに違いない。
「失礼します。」
そして応接室に入って数分後、寮母はマリアを連れてやってきた。
「あの…私も同席しても差し支えないでしょうか?」
不安げな表情を見せてるマリアを心配してか、寮母は同席を希望した。
「はい、かまいません。」
ミケが、快諾すると、マリアと寮母は3人の向かいに腰掛けた。
「寮母さんにマリア、初めまして。調査兵団で第1分隊の分隊長を務めているミケ・ザカリアスです。宜しく。」
ミケは軽く腰を上げると簡単に自己紹介をして頭を下げた。
「…ミケさんは、お姉ちゃんの上官なのですか?」
「そうだ…俺は班長も兼任している。フレイアは俺の班の班員として勇敢に戦ってくれた…」
ー戦ってくれたー
その“過去形”の表現に表情を一気に曇らせると、マリアは真実に迫る質問をミケにした。
「あの…今日お姉ちゃんは…どうしてここにいないのですか?」
迎えに来たくても怪我をしてしまったなどの事情があるならば、ここに居なくても当然だ。
マリアはその可能性に賭けたくて、ミケに問いかける。
「マリア……君には酷な話になるが……フレイアは後輩のリリアンという兵士が巨人に食われた際、仇を取ろうとして負傷してしまった。なんとか命を繋ごうとしたが、負傷が酷くて…壁外の拠点で処置をしたが…そのまま息を引き取った…」
「……………」
マリアの瞳から光が消える。
「君のお姉さんを救えなくてすまなかった…」
ミケはソファに腰かけたまま深々と頭を下げた。