第43章 姉妹の絆
翌朝
よく晴れた秋空のもと、ミケとエルドとクレアはマリアの孤児院へ向かうべく馬を走らせていた。
クレアは昨夜、リヴァイからの激しい寵愛を受け、途中で気を失ってしまったのだが、起きたかった時間に目が覚めるという持ち前の奇行種ぶりを発揮すると、予定していた洗濯を済ませてから出発する事ができた。
しかし、さすがに体力を消耗したせいか、なんだかボンヤリと眠たくて騎乗したままアクビをしてしまった。
「どうしたクレア?昨日はリヴァイが離してくれなかったのか?」
「へ?あ、あの、い、いえ!そんな事は…すみません!!」
「フン…」
ミケの不意打ちの突っ込みに慌てながら否定をするが、ミケからしてみればそんなのは“はいそうです”と肯定している様にしか見えず、思わず鼻で笑ってしまった。
ミケの不意打ちに顔を上気させてしまったクレアだったが、愛馬デイジーを走らせていれば涼しい秋風が頬を掠めて自然と熱は冷めていく。
マリアは今どんな気持ちでいるだろうか…
クレアは少しずつ冷めてきた頬をパチンと叩きながら心の中でマリアの気持ちを切なく想った。
本来であれば昨日フレイアが迎えにいく予定だったのだ。
ミケの話によると、昨日孤児院に早馬を出したそうなのだが、あえてフレイアの死は伝えずに単に“遅れる”としか伝達はしなかったらしい。
そのため、今頃は姉の安否を心配して1人で苦しんではいないだろうか…
そう考えるとクレアの胸もキュッと痛んだ。
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孤児院に到着すると、マリアより歳の小さい子供達が外で元気よく遊ぶ姿が見られた。
「ミケさん、入り口はこちらです…」
「あぁ、分かった。」
馬を繋ぐと、クレアとエルドは孤児院の正面玄関までミケを案内する。
そして扉を叩くと、孤児院の寮母が出てきて3人を出迎えた。