第42章 鎮魂花(ちんこんか)に想いを乗せて
「ねぇクレア…明日ミケさんと、マリアの孤児院に行くんだろう?その…俺もついて行ったらダメ…かな…?」
まさかの申し出に少し驚いたが、きっとエルドはマリアに伝えたい事があるのだろう。
「ダメだなんてそんな事はないと思います。一応明日は朝食が済んたら厩舎に集合して馬で孤児院までいくそうなんです。なのでご一緒されるのであれば、明日厩舎まで来てください。」
「あぁ…分かった。あ、あの!兵長…」
エルドはリヴァイの方に向き直り明日の外出許可を願い出た。
すると、2人の会話を聞きながら書類に目を通していたリヴァイが視線をエルドに向けた。
「なんだ?」
「明日、ミケさんとクレアがマリアの孤児院に行くそうなのですが、同行しても宜しいでしょうか?」
「あぁ、構わない。」
リヴァイも、もうエルドの気持ちの整理はできていると判断したのだろう。
特に何も言わずに了承の返事をした。
「ありがとうございます!では、自分はこれで失礼致します。それと、兵長…色々とありがとうございました…」
「………」
きっと昨夜の事を言っているのだろう。
エルドは少し申し訳なさそうな表情で礼を言いながら敬礼をした。
「何度も言うが俺は何もしていない…今日は仕事の手伝い助かった。明日は気をつけて行ってこい。」
「はいっ!失礼しました!」
迷いのない挨拶をすると、エルドはリヴァイの執務室を後にした。
「あ…あの……」
急に2人きりになってしまってクレアは少し緊張してしまう。
リヴァイとは昨日散々泣いたのが最後で、昼過ぎに玄関であった時も会話らしい会話はしていなかったのだ。
「兵長…」
しかし、リヴァイはクレアをじっと見つめたまま黙っている。
クレアが何か話し出すのを待っているのだろうか。
「あ……」
じっと自分を見つめるその顔にはやはり傷がついている。まずは昨夜の謝罪をしなくては……
クレアは覚悟を決めると、リヴァイの座っているイスまでゆっくりと近づいていった。