第42章 鎮魂花(ちんこんか)に想いを乗せて
「1人でいるのがちょっとしんどくて…今日は兵長の仕事の手伝いをさせてもらってたんだ。」
「そ、そうだったんですね…」
「でも、もうきりのいいところまで終わったし、俺も…大分落ち着いたから今日はもう部屋に戻るよ。」
「えと……」
「クレア…昨日は情けないところを見せてすまなかった…パドリックに俺を呼びに行かせたり、俺達が駆けつけるまで必死に救命処置をしてくれたんだろ?…それなのに、俺は…フレイアが死んだ事がショックで…クレアにまともに礼も言えなかった。すまなかったと思ってる…ごめん。」
「そんな……」
エルドの様子を見る限り、クレアと同様に自身との気持ちに整理はついてる様に感じるのだが…
そんな今なら渡しても大丈夫だろうか…
クレアはおそるおそるポッケに入っていた小箱を取り出すと、エルドの前にさし出した。
「エルドさん…その…もし宜しければこれを…」
「ん?これは何だ?…………あっ。」
手に取り箱をあけると、見覚えのある物にエルドの瞳が揺れた。
「明日、ミケさんとマリアの孤児院に遺品を届けに行くんです。なので、今フレイアの遺品を整理していたのですが…最後に開けた引き出しから出てきたんです。…これはマリアに届けるよりも、エルドさんが形見として持っている方がいいのではないかと思ったのですが…その…」
少し不安になりながらもエルドを見ると、エルドは目に少し涙を浮かべながらそのネックレスを手に取った。
「あ、ありがとう…クレア…これは俺がフレイアに初めて贈った物なんだ。街の露店で売っていた安物なんだけど、彼女は喜んで、出かける時は、いつもつけてきてくれてたんだ…これを俺が形見として持っていてもいいのか?」
「えと……それは…多分フレイアはそう望んでるのではないのかなと思って…持ってきました…」
「そうか…ありがとう。これはフレイアの大事な形見として俺が大切に持っている事にするよ。」
微笑みながら答えたエルドに、クレアは少し安堵した。