第42章 鎮魂花(ちんこんか)に想いを乗せて
「クレア…本当に私手伝わなくて大丈夫?」
ハンジはフレイアの遺品整理を手伝うと申し出たのだが、断られてしまった。
「はい、フレイアはあまり物を買い込むタイプではなかったので、すぐに終ると思います。今日は半日私に時間を使わせてしまったので、ハンジさんの方がお仕事山積みだと思います…本当にすみません…」
「もう、それは気にしないで!!じゃあ私は仕事に戻るけど、何か分からないことがあったら執務室まで来て!」
「はい、承知致しました。」
クレアが敬礼をすると、ハンジはその頭を数回撫でてから執務室に向かっていった。
「ふう…始めようか…」
クレアはまず、2段ベッドの上にひかれている布団カバーやシーツをはがした。
そして、兵服のマントやジャケットの予備など、洗濯をして返すものは全て1箇所にまとめる。
できれば明日、出発前に洗濯を終わらせたい。
明日も特別休暇だが、早起きする事になりそうだ。
そして次は私物の整理だ。とはいっても私服や部屋着の類しか無さそうだ。クローゼットをあけてもそこまで物で溢れかえってはいなかった。
部屋着や下着は処分でいいだろう。
外出用の私服はエルドと出かける事が多かったためかなかなかお洒落な服がハンガーにかけられていた。
これは遺品として持っていこうと、クレアは丁寧に1枚1枚たたむと、荷造りの袋に入れる。
後は机の引き出しだ。
よく読んでいた本が何冊かあるが、これも処分でいいだろう。
やはりクレアのよみ通り、フレイアの遺品整理はそこまで大変ではなかった。
間もなく終わるだろう。
そう思った時、引き出しの隅に、なにやら小さな小箱がひっそりと仕舞われているのに気付いた。
これはなんだろうか…
クレアが手に取り箱をあけて中身を確認してみた。
「あ……」
その中に入っていた物…それはクレアにも見覚えのある物だった。