第42章 鎮魂花(ちんこんか)に想いを乗せて
紫色の花畑をじっと見つめていたクレアにハンジが声をかける。
「私はさ…女の上官だし、クレアにはリヴァイっていう恋人がいる。だから私はリヴァイのように、恋人として深く触れ合って慰めてあげるような事はできない。ちょっと妬けちゃうけどね…でも
、こんな事くらいしかできないけど、私もクレアの事が心配で心配で…昨日はいてもたってもいられなかったんだ。フレイアの事は本当に残念だったと思ってる。仲が良かったのを知っていただけあって、痛いほどよく分かる。でも、それでも…1日でも早く元気に戻ってくれるのを願ってるから…だから、ここに連れて来たかったんだ……」
ハンジは少し遠慮がちなほほ笑みでクレアに自身の気持ちを伝えた。
「ハンジさん……」
気付けばクレアの両頬には涙が伝っていた。
「うぅ……うぅっ……」
「え?!クレア!?大丈夫…?!」
ハンジは急に泣き出したクレアに駆け寄って顔を覗き込もうとしたが、その手は振り払われてしまう。
「もう!ハンジさん!!ひどいです!!」
「えぇ?!」
いきなり怒り出したクレアの行動と発言にハンジは驚愕してしまう。
「私、私、昨日で泣くのは最後にしようと思ってたのに……うっ、うぅっ……こんな所に連れて来られたら…また…泣いちゃうじゃ…ないですか…あぁーん…」
「あ、えと…クレア…?」
「こんな素敵な場所に連れてきて…素敵な言葉を教えてくれて…ハンジさんはそんなに私の事を泣かせたいんですか?!!」
「えぇー?!」
「もう、ひどい!ハンジさんのバカバカ!!もう!もう!!ハンジさんなんて!!ハンジさんなんて!!」
「大好きです……!!」
「ゔゔ、ゔぇ?!」
ードサッー
体当たりのように抱きついてきたクレアに、ハンジは驚きバランスを崩すと、そのまま花畑に2人で倒れ込んでしまった。