第42章 鎮魂花(ちんこんか)に想いを乗せて
「そういうハンジさんも素敵です。なんか…こういうのも変かもしれませんが…カッコイイです…」
ハンジはクレアとは正反対で、白のシャツに細身の黒いパンツスタイルという服装だった。
スラッと背の高いハンジにはシンプルだが実によく似合っていた。
「ハハッ!ありがとう。これじゃあ本当にデートになっちゃうね。リヴァイに見つかったらまずいから早く行こう!!」
ハンジはいたずらっ子の様に笑うと、クレアの手を引いて走り出した。
兵舎を出て30分ほど歩いた。
すると、2人は大きな広場のある公園にたどり着く。
芝生の生えた広い広場では子供たちが駆け回って遊んでいて、隅の方には滑り台やブランコ、砂場などの遊具もあった。
「ここ、公園ですか…?」
「うん、そうだよ。天気もいいし、相変わらず賑やかだなぁ。」
ハンジはほのぼのと遊び回る子供たちを見つめているが、クレアにはここにきた意味がさっぱり分からなかった。
「ハンジさん…ここに私を連れてきたかったんですか…?」
疑問符を浮かべながら問いかけると、ハンジは苦笑いしながら答えた。
「ごめんごめん!!正確にはあそこ!あの丘の上に行こうとしてたの。」
ハンジの指さす方向を見ると確かに小高い丘が見える。
「…………………。」
でも、その上に何があるかまでは見えなかった。
「ほら、行こう!」
ハンジに声をかけられたクレアはすぐにその背中を追った。
この丘は何人もの人間が通ったのだろう。
地面は人が登りやすい様にうまい具合に削れている。
そのためスカート姿のクレアでも、問題なく登る事ができたのだが……
半分辺りまで登った所で、急にハンジが振り向くと、クレアの後ろに周り、両手で目を覆われてしまった。
「ハ、ハンジさん?!」
いきなり後ろから視界を奪われてしまい慌てるクレア。しかし、ハンジはお構いなしだ。
「クレア、ここからはこのまま進んで、頂上につくまで目隠しは取らないからね!!」
「えぇーー!?」
「ほら!行った行った!!」
戸惑う時間も与えてはくれずにハンジはクレアを急かしながら登り続けた。