第42章 鎮魂花(ちんこんか)に想いを乗せて
「あ、いえ…そんな事はないです!少し驚きましたが…兵長は、エルドさんの部屋に行かれたんですね…」
エルドはフレイアの恋人だったのだ。
失った悲しみは自分のソレとは比べ物にならないだろう。
「うん…エルドも相当ショックを受けてたから…リヴァイはエルドの事もクレアと同じくらい心配してたみたい…」
「そうですか……」
「ねぇ、クレア?今日、時間ある?」
ハンジは、俯いて黙ってしまったクレアの隣に座り直すと、顔を覗きこみながら声をかけた。
「え?今日ですか?特にそれといって用事は…兵長の仕事を手伝おうと思ってたくらいでしょうか…」
あと、フレイアの遺品整理もしなくてはとクレアはボンヤリと考えていた。
「そっか…リヴァイからは仕事の手伝いは休んでもいいって言われているんだ。だからさ…今から私と一緒に出かけない??」
「え?ハンジさんとですか?どこに行くんですか?」
「行く場所はまだ内緒。…ね、どう?たまにはリヴァイとじゃなくて、私とデートしてみない?」
膝を抱えながら柔らかく微笑むハンジ。
クレアは敬愛する上官の誘いを断る理由などなかった。
「ハ、ハンジさんからデートのお誘いをされるなんて思いませんでした。是非、連れて行って下さい。」
「じゃあ決まりね!着替えたら食堂で待ち合わせよう。一緒に朝ごはん食べたらすぐ出発ね!」
「は、はい!!」
クレアが返事をすると、ハンジは着替えをしに自室まで戻って行った。
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朝食を終えると、2人は徒歩で出発をした。
どうやらそこまで遠出はしない様だ。
「クレアの服、可愛いね!!それもリヴァイに仕立てて貰ったの?」
「は、はい…そうなんです。外で着る服は全部兵長に仕立ててもらっちゃいました…」
クレアは薄いピンクの膝丈ワンピースを着ていた。胸元や袖口、裾にはレースがあしらわれており、とてもよく似合っている。