第41章 奇行種の瞳が映したモノ
「わかった。そしたら今夜私はクレアの部屋に泊まるよ。きっと明日の朝、驚かれるだろうけどね…」
「そうしてくれると助かる。俺はエルドの所にも行ってやりてぇからこれからそっちにいつくもりだ。じゃあ、頼んだぞ…」
リヴァイがそう言ってハンジに背中を向けた時だった。
「リヴァイ…?明日、クレアかりてもいい?」
「あ?なんの用だ?」
リヴァイは背中を向けたまま答える。
「連れて行きたい所があるから…」
「……………」
リヴァイには、“連れていきたい所”というキーワードで、それがどこだか想像できていた。
「あぁ…分かった…」
ぶっきらぼうに必要最低限な返事をすると、リヴァイはそのままエルドの部屋に向かって歩いて行った。
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「エルド……いるか…?」
リヴァイはエルドの部屋に着くとノックをし名前を呼ぶ。
クレアの部屋の前に着いた時のような泣き声は聞こえないが、エルドはきっとまだ起きてるはずだ。
「(へ、兵長ですか?!ど、どうぞ!)」
中から少し慌てたような声がしたため、リヴァイはそっと扉をあける。
「………………」
すると、慌てて立ち上がろうとしていたエルドと目があった。
床には酒瓶とグラスが3つ。
「す、すみません…兵長…こんなところを…」
エルドはおそらく眠る気にはなれずに1人で飲んでいたのだろう。
もう帰らぬ者となってしまった戦友と、恋人と共に…
「…そのままでいい。」
「あ…は、はい…」
リヴァイは座り直したエルドの隣に腰を落とした。
「隣…いいか?」
いいも何もない。
自分がどんな状態だろうと上官を床に座らせるなどできるはすがない。
「へ、兵長いけません…今椅子出しますので…」
「ここでいい…ほら、座れ…」
リヴァイは立ち上がったエルドに再び座るように促すと、酒瓶を持ってグラスに注いでやった。