第41章 奇行種の瞳が映したモノ
「………っ………っ…………」
どれくらいの時間がたっただろうか…
キンモクセイの香りを感じながら泣き叫ぶクレアの頭を撫で続けていたリヴァイ。
少しずつ声が小さくなったかと思ったら突然静かになった。
「……寝ちまったのか??」
リヴァイは少し首を傾けて胸元にいるクレアの顔を覗き込むと、目の周りを真っ赤にしたまま眠ってしまっていた。
涙で頬がベタベタで、髪の毛がはりついてしまっている。
「まったく…よく泣いたな…」
リヴァイは自分の上に乗っていたクレアをそっとベッドに寝かせると、起き上がって頬についてる髪の毛をはがしてやった。
そして自身の胸元を見ると、シャツはクレアの涙でビショビショだ。
さらには鼻水とヨダレのおまけ付き。
「ったく泣き方も奇行種だな…」
リヴァイは呆れたようにため息をついた。
できる事なら明日の朝目が覚めるまで側にいてやりたいのだが、リヴァイはエルドの事も気にかけていた。
エルドもフレイアという大切な存在を失ったと同時に、同室の兵士も亡くしている。
リヴァイはクレアの首から部屋のカギを取り、机に書き置きを残すと、エルドの所へ行くため、部屋を後にしようとした。
しかし、扉を開けるとすぐ横の壁にもたれかかって立っている人物が1人。
「やっ、リヴァイ……」
小さく手を上げてリヴァイの名を呼んだのはハンジだった。
「…ハンジか?、いったいここで何してる。」
「私だって…クレアの事が心配で来たんだ。でも、私が割って入れる様な雰囲気ではなくてね…それにしても…奇行種殿は…派手に暴れたみたいだね。」
ハンジは苦笑いをしながらリヴァイの胸元のシミを見ては血の滲んでいる目元を指さした。
様子から察するにクレアとのやり取りは全て聞かれていたのだろう。
「…聞いてたのかよ。まぁ、暴れ方も泣き方も半端なく奇行種だったな。それよりハンジ、今夜はもうあいてるのか?」
「え?う、うん……まぁ、仕事も無くはないけど。」
「そしたらコレを預けてもいいか。まさか一晩開けっ放しにしとくわけにもいかないからな。」
リヴァイがハンジに差し出したのはクレアの部屋のカギだった。