第41章 奇行種の瞳が映したモノ
「結果が誰にも分からないのは当たり前なんだ…だから、あの時、お前がフレイアのためにできると思ったのがエルドに会わせる事だったのなら、それはその時点では悔いのない選択だったんだ。」
「…ゔぅ……ぅっ……」
「お前は自分の持てる技術を全て使ってフレイアをエルドに会わせようとしたんだ。あの空気を読むのがうまいフレイアの事だ。それは十分に分かっていたはずだ。最後に言い残した言葉の意味までは分からないが、クレアの思っていたようなネガティブな意味ではなかったと俺は思っている…」
リヴァイはまだ止まることのない涙を指で拭ってやりながら続ける。
「だからそこまで自分を責めるのはもうやめろ…分からない事だらけでもこれだけは言える…」
「……え?……」
「死んだ者も、生き残った者も…誰一人としてお前が自身を責め、泣いている姿など望んではいない。」
「…兵長…」
「その中に、俺も含まれている事を忘れるなよ…」
「…へ、へいちょう……ゔっ……うぇ……」
その言葉を聞いたクレアは顔をクシャクシャにさせながら、再び洪水の様に涙を流した。
リヴァイを締め上げていた両手も自然に緩んでいく。
「だから、側にいて慰める事くらいさせてくれ…。」
首元が緩んだのを確認すると、リヴァイはクレアの両腕をゆっくり引き、自身の胸に抱きしめた。
「ゔぇ……あぁぁ……兵長…ごめんなさい……」
やっと素直になったクレアに少し安堵すると、リヴァイは優しく後頭部を撫でてやった。
「あぁぁ…ごめんなさい…ごめんなさい…」
「謝る事はない…分かったなら後は気の済むまで泣けばいい…その涙が止まるまで、俺は側にいる…」
「…うぇぇ…へいちょう…へいちょう……」
リヴァイの言葉で正気に戻ったクレアだが、フレイアの事を想えば想う程、リヴァイの話が理解できればできる程、涙が溢れて止まらない。
だけど、今だけは許して欲しい。
涙が枯れるまで泣いたらまた戦うと誓う。
だから、助けられなかった全ての命…
今だけは泣かせて下さい…
心の中で何度も呟くと、クレアはリヴァイにしがみつきながらその涙が止まるまで大声で泣き叫んだ。