第41章 奇行種の瞳が映したモノ
今頃酷く落ち込んでいるだろうか。
エルドの様に憔悴しきってるだろうか。
今のクレアの状態が読めぬまま1歩また1歩と部屋に近づいていく。
そしていよいよクレアの部屋の前まで到着すると、中から聞こえてくる声にリヴァイはノックする手を一瞬躊躇してしまった。
「(あぁぁぁぁぁ…!あぁぁ!!……フレイア…)」
「………っ!?」
中から聞こえてきたのは、悲痛な声で泣き叫ぶクレアの泣き声だった。
「クレア……」
リヴァイはこのまま中に入ってもいいものか迷ったが、大切なクレアがかけがえのない親友を失って1人で泣いているのだ。
何もできなくても側にいるべきだと自身に言い聞かせると、そっとドアノブに手をかけた。
ドアノブを回し、静かに扉を押すとカギはかかっていなかった。
中に入ると、二段ベッドの下でうずくまり泣いているクレアの後ろ姿。
拳を布団に叩きつけて悲鳴のような声で泣き叫んでいる。その痛々しい後ろ姿に胸を痛めるリヴァイだが、ゆっくり近づき声をかけた。
「……クレア、大丈夫か…?」
「…えっ?!!!」
いきなり声をかけられ驚いたのか、しゃくり上げたままガバッと起き上がるクレア。
「………………」
ゆっくりと振り返るとそこにいたのはリヴァイだった。
「へ……兵長……??どうして…ここに…?」
「お前の事が心配で来たんだ、カギは…かかってなかったから入らせてもらったぞ…」
クレアはリヴァイがやってくるなど思ってなかった為、その蒼い瞳は大粒の涙を溢しながら戸惑い揺れる。
「……大丈夫か…ハンジも心配していたぞ…」
こんな状態で大丈夫なわけあるかと、リヴァイは語彙力のない自分自身を殴りたくもなったが、なんて言葉が1番いいのか分からない。
大丈夫かと声をかけるのが精一杯だった。