第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
「あれ?!ハンジさん!それにミケさん?こんなところで何してるんですか?」
「クレアこそ、ここでリヴァイに襲われてたんじゃないのか?」
「へ?えー?そ、そんなことありません!」
「おい、クソメガネ。何を勘違いしてるのかは知らねぇが、俺はお前んとこの新兵に、これをかしてやっただけだ。」
机の上にボンと軟膏のチューブを投げた。
「ん?これって馬の筋肉疲労の薬?あれ…もしかして…」
「お前もコレが人間にも使えること知ってるだろ?完全にお前の勘違いだ。」
「アハ…アハハハ…なーんだ。そういうこと?クレアがあまりにも色っぽい声だすからさぁー。勘違いしちゃったよ!」
ハンジは頭をポリポリかきながら苦笑いをした。
ミケは黙ったままため息をついた。
「じゃ!じゃあ私は急ぐので失礼するよ!」
さっさと退散した方が身のためだと思ったのであろうか。ハンジとミケは早々にリヴァイの執務室を後にした。
──パタン──
扉が閉まると、この部屋は再びリヴァイとクレアの2人きりだ。
「あ、あの…この薬、そんなに効き目があるならどうして新兵たちに教えてあげないんですか?」
「こんな特効薬、簡単には教えねぇよ。一応、馬当番の洗礼は毎年の恒例行事だからな。少し大げさだが、これを乗り越えて、最初の壁外調査で行って帰ってこれたら晴れて一人前だ。」
「では…どうして私には教えてくれたんですか?」
「………」
何故……教えたのか…だと?
…リヴァイはなかなか答えられなかった。
馬当番の後は必ずこうなるとわかっていた。ハンジがすぐに仕事を上がらせることもわかっていた。
だから、自室に招き入れて、最もらしい理由をつけてクレアの肌に触れられると思った。
などとはさすがに答えられない。
そう、全てはリヴァイの確信犯だった。
「兵長…?」
少し困ったような表情で覗き込む。
「……ただの、礼だ。」
苦し紛れに答える。
「お礼…ですか?」
「あぁ、毎朝執務室の掃除をさせてるからな、その礼だ。もういいだろ。服を着たなら戻ってさっさと寝ろ。」
これ以上ここにいられたら、本当に襲ってしまいそうだ。
「フフフ、お礼のお礼だなんて…変な兵長ですね…」
「………………?!」