第41章 奇行種の瞳が映したモノ
エルドとリヴァイがパドリックと共に走り去ると、そこに残されたのはオルオとペトラとグンタだ。
「ねぇ…フレイアが重症っていったい…」
突然の出来事に少し血の気の引いたペトラが掠れる様な声で呟くが、オルオもグンタも首を横に振る。
「それは俺にも分からねぇよ。」
「でもあのパドリックの様子じゃあ…もしかすると…」
もしかすると…助からないのかもしれない。
グンタはそう言おうとしたが、エルドの気持ちを考えると、後半の言葉は声にする事ができなかった。
そして、只々立ち尽くす3人のところに、ハンジとモブリットがやってきた。
「ねぇねぇ!クレアってまだ来てない?って、あれ?リヴァイとエルドは?」
「ハンジさん…モブリットさん…」
2人はクレアが応急処置から戻ってきたか見に来たのだろう。
だが、しばらくクレアは戻ってこれないはずだ。
グンタがなんとか冷静さを保ちながら2人に今さっき起きた出来事を伝えた。
「あの…今、パドリックが血相を変えてここに来たんです。…それで、フレイアが重症だと告げてエルドを連れていきました。リヴァイ兵長も一緒です。…なので、クレアはしばらくここには来れないかと…」
「なんだって?!フレイアが?」
ハンジとモブリットは顔を合わせると、驚愕した表情で言葉を失ったが、すぐにハンジはモブリットの腕を掴むと声を荒げた。
「モブリット!!クレアの所へいこう!!」
「は、はい!!」
フレイアはクレアの同室だ。
それに唯一の友人と言っても過言ではない。
そんなフレイアが重症となれば、いくらクレアとて心の方が心配だ。
「グンタ、ありがとう!!」
それだけ言うと、ハンジとモブリットは大急ぎで走っていった。
大事な部下クレアの大切な友人だ。
どうか、どうか死なないで欲しい。
神を崇めた事などなかったハンジだが、心の中でそう叫ばずにはいられなかった。