第41章 奇行種の瞳が映したモノ
みな軽症だったため、応急処置はすぐに終わりクレアは少し安堵する。
ハンジの頬の処置も手際よく終わらせると、後ろから声をかけられた。
「クレアさん!!」
クレアを呼んだのは、少し息を上げたアンドレだった。
「アンドレ!無事だったのね!」
「はい、討伐1体、きめました!!どうしてもクレアさんに報告したくて!」
嬉しそうに報告に来たアンドレに思わず笑みがこぼれたクレアだったが、よく見ると手の甲から血が滴っていた。
「知らせに来てくれて嬉しいわ。ありがとう。でもアンドレ怪我してる。こっちに来て。」
クレアはアンドレの手を引いて座らせると、手の甲に水をかけて、布を使い付着している砂を擦りとった。
「あっ!いて!痛いっすよ!クレアさん!ちょっと待ってください!いてー!」
真顔で容赦なく傷口を擦るクレアにアンドレは情けない声を上げた。
「アンドレ我慢して。こうして砂を落とさないと細菌が入って化膿しちゃうの。」
「わ、分かりました!で、でももうちょっと優しくしてくださいよー!」
「優しくしてあげたいんだけど、こうしないと取れないのよ…もう、アンドレ男の子でしょ!!」
そう言ってチラリとアンドレの顔を覗き込むクレア。
そのなだめる様な表情に思わずアンドレの胸の鼓動が高鳴ってしまったのは言うまでもないだろう。
アンドレは上気した顔をクレアに悟られまいと、必死に顔をそむけてその熱がおさまるのを待った。
「はい、コレでよし。アンドレはこれから拠点の設営でしょ?私は討伐担当だからもう準備ができたら配置についちゃうの。だから設営の方、宜しくね。」
クレアはアンドレの手の甲をポンと叩いて立ち上がった。
「ありがとうございます。でも本当にクレアさん、言ってた通りでしたね。」
「え…?!」
アンドレは治療してもらった手の甲をヒラヒラとクレアに見せながら言うが、当のクレアはアンドレの言ったことがいまいち分からずポカンとしてしまう。