第41章 奇行種の瞳が映したモノ
「ぐふっ…!!!」
「分隊長!……クレア?!」
まるで体当たりのように抱きつくと、その衝撃に一瞬ハンジはよろけてしまう。
「失礼を承知で申し上げますが、討伐力だけなら私の方が上なんです!!これからは無茶な討伐はしないで下さいね…」
真っ直ぐな想いをぶつけるクレア。
ここまで言われてしまえば返す言葉もない。
「ごめんクレア…でも私だってクレアばかりに危険な事をさせるわけにはいかないよ。それは、私がクレアを失いたくないっていうのももちろんだけど…」
「!?」
「君はリヴァイの大切な人だからね。私のミスで大事な友人の大切な人を死なせるわけにはいかないんだよ。」
抱きついているクレアの頭をポンポンと撫でると、クレアは顔を上げてハンジを見上げた。
そう言われてしまえば今度何も言えなくなってしまうのはクレアの方だ。
「もう、ハンジさんの意地悪。と、とにかく、今後は無茶な討伐は控えてくださいね!!…って、あ!ハンジさん!怪我してますよ!!」
「え?!」
ハンジが、頬に手を当てると、着地に失敗した時に擦りむいたのを思い出す。
たいしたことはなさそうだが、傷口に砂が付着している。放置して化膿でもしたら大変だ。
クレアが慌てて治療を始めようとしたが、ハンジは首を横に振る。
「クレア、治療は拠点に着いてからでいい。もうすぐで、前回辿り着けなかった古城跡に到着できそうなんだ。まずはそこまで急ごう。」
「は、はい…分かりました。」
3人はそれぞれの愛馬に跨ると、古城跡目指して最高速度で走り出した。
陣形の後方にいたハンジ達が拠点の古城跡に着くと、先に到着していた兵士達で、拠点の設営準備に取り掛かっていた。
今後はここが夜営場所となるため、持ち運ぶ資材も多く荷馬車の数も多かったが、なんとか巨人に襲われることなく到着できたようだ。
クレアはデイジーから降りると、すぐに医療セットを持ち、怪我人がまとめられてる所まで駆けつけたが、幸いみな軽症だった。