第41章 奇行種の瞳が映したモノ
「はぁ…もう…本当に顔が爆発して死ぬかと思った…」
一通りのたうち回って少し落ち着きを取り戻すと、フレイアはヨロヨロと立ち上がり兵服に着替え始めた。
「私も…とんでもなく恥ずかしかったよ…」
クレアも苦笑いしながらフラフラと、洗濯された兵服に着替えると、鏡に向かって髪を梳かし始める。
いつもの様に両サイドの髪を編み込むとくるくると丸めて整えた。
鏡で後ろの方も確認し、緩みがなければ完成だ。
「本当にクレアって器用だね。」
「この髪のこと?そんなに難しくないよ。」
フレイアはクレアの蜂蜜色の長い髪を羨ましそうに見つめる。
「こんな真っ黒い髪だけど…私も伸ばしてみようかな。」
着替えの済んだフレイアは、自身の短い黒髪を触りながらポツリと言った。
「いいじゃん!伸ばしてみなよ。ショートも似合うけど、フレイアはスタイルもいいし、ロングも絶対似合うよ!」
「そう?そう…かな…?」
クレアの力の入った後押しにフレイアは照れくさそうに笑った。
「もし髪が伸びたらおしゃれな髪型のやり方教えてね。」
「もちろん!!任せて!」
元気よく返事をすると、クレアはリヴァイの仕事を手伝いに先に部屋を出ようとする。
「あっ、そういえば、明日迎えにいけるんでしょ?私マリアに会えるの、楽しみにしてるからね!」
「うん!!マリアもクレアに会えるの楽しみにしてたよ。だから、くれぐれも壁外で行方不明になったりしないでね!いってらっしゃい!」
「そ、そうだね…肝に命じとくよ…いってきます!」
3月に行われた壁外調査の失態を思い出し、思わず苦笑いをすると、部屋をでてリヴァイの執務室に向かっていった。
長い廊下の窓からさしこむ朝日は澄んでいて、空には雲1つなかった。
昨年の秋の壁外調査は帰還途中に大雨にやられて大打撃を受けた上に自身も大怪我をしたのだ。
今日はどうか天気の崩れは出ないで欲しいと、心から祈るとクレアはリヴァイの元へと急いだ。