第41章 奇行種の瞳が映したモノ
だがもう日もだいぶ傾いてる。
クレアはそんなリヴァイの姿をもう少しゆっくり見ていたかったが、暗くなってしまっては手元も見づらくなってしまう。
少し名残惜しいが、仕方なくクレアは言われた通りにテキパキと手本を見せ、説明をしてやった。
リヴァイもアンドレと同様、クレアが教えた通りに上手に編み込んでいる。
「兵長…お上手ですね。」
人類最強は手先も器用なのだろうか。
無意識に感想が漏れ出てしまった。
「そうか?…まぁ…とんだ跳ねっ返りの面倒をみてたからな…」
「あ、あの……」
リヴァイに弟妹(ていまい)がいたとは聞いたことがない。
とんだ跳ねっ返り……
それはまさか……
「前に話した事あっただろ?イザベルの事だ…」
ポカンとしていたクレアに、リヴァイは振り向いて答えた。
「兵長……」
「ボサボサの赤毛を1人で結べるようになるまで面倒みてやってたのは俺だったからな。ハッ、今思い出しても色気の欠片もないヤツだったな…」
少し懐かしんでいるのか、リヴァイが自身の手元を見つめる表情はとても柔らかい。
「す、すみません……」
リヴァイの表情は柔らかかったが、昔の仲間、ファーランとイザベルを失ってしまったのは自身のミスだと以前言っていた。
そんな話を覚えていたクレアは、辛い過去を思い出させてしまったと、咄嗟に謝罪をした。
「別にお前が謝ることないだろ?ただの昔話だ。」
「…ですが……」
「ふと、昔の事を思い出したまでだ。気にするな。」
そう言うと、リヴァイは最後の三つ編みを仕上げてゴムでとめた。
それらを団子状に丸めてさらにゴムで縛れば完成だ。
「ほらできたぞ、これでいいのか?」
「は、はい!!」
自身の失言に少し落ち込んでしまったが、リヴァイはまったく気にしていない様だ。
気を取り直してダスゲニーを見ると、立派に編み込まれた姿はとても雄々しくて凛々しかった。