第41章 奇行種の瞳が映したモノ
「もちろん…もちろんです、あんな事…もう絶対にしません!!」
「変なこと言ってごめんね、ちゃんと分かってる。だから兵長も多分大丈夫なはず。それにしても、大変だったでしょ?トイレ掃除に馬房掃除に倉庫の片付けに草むしりなんて…」
季節もちょうど夏本番だったのだ。
訓練前にトイレ掃除をこなして馬2頭分の馬房掃除など、体力のあるアンドレでもさすがにキツかったはずだ。
「は、はい……ちょうど暑くなりだしたタイミングでしたので、本当に、キツかったです…」
アンドレは頭を掻きながら気まずそうに笑った。
「本当にご苦労さま。でも最後の方にはあのダスゲニーにも懐かれてたよね!!アンドレの誠意が伝わった証拠だよ!!」
「そうだと嬉しいんですが……それにしても本当にクレアさんはすごいですね。」
「え?何が?」
いきなり話題が自分に向けられ思わずキョトンとなってしまう。
「あのリヴァイ兵長に、あんなに愛されてるなんて……」
「え?えぇ?!」
クレアはまさかの展開に思わず櫛を落としてしまった。
「だって、本当ならこんな俺なんて、兵長はすぐにでも処分したかった筈です。それなのに、クレアさんの想いを優先させて、こんな罰で許してもらえるなんて…人類最強と呼ばれている兵長の心を射止めたクレアさんは本当に凄いです。」
クレアを恋愛の対象として見ていたかは結局分からず終いだったが、そうでなくてもクレアは自分なんかが手を出せる相手ではなかったのだ。
「…そんな…射止めたなんて…私はそんな事…」
「え?俺には兵長がクレアさんに対してものすごい愛情を注いでるように感じたのですが…違うんですか?」
「そ、それは…えーと…なんというか…」
射止めたなんて言い方をされてしまうとちょっと違和感があるし、だからと言ってこの頭がパニックになった状態ではうまく説明もできず、クレアはしどろもどろになってしまった。
だが、そこで救世主が現れてくれた。
「あっ!!クレアさん!!…それにアンドレ?!お2人で何されてるんですか?」
慌てふためいたクレアの前に現れてくれたのはリリアンだった。