第41章 奇行種の瞳が映したモノ
「まずはこうやって、同じ量で束を作っていって…」
「は、はい!!」
「そしたら1つずつ三つ編みに編んでいって。緩くならない様に気をつけてね。」
「は、はい!!」
細かい作業のためか少しぎこちないが、アンドレの三つ編みは、きちんとキツく編み込まれていて、とてもキレイだった。
「アンドレ、三つ編み上手ね……」
クレアが褒めると、照れ臭そうにアンドレは笑った。
「ありがとうございます!慣れてはいませんが…妹達にせがまれて…やった事はあります。でもやっぱりクレアさんみたいにスムーズにはできません…」
「そんな事ないよ。上手だからそのまま全部続けて。」
手入れなどは基本的に馬の左側に立って行う。
そのため2人は並んで繋いだ馬の左側に立っている。
アンドレは背が高いため、そのまま手を伸ばして編んでるが、クレアは背が低いため、馬体の小さめのデイジー相手でも踏み台を使わないと何もできない。
そのため、踏み台に乗っているクレアからはアンドレがスコールのたてがみを編んでいる様子がよく見えたのだ。
しかし、2人で並んでそれぞれの愛馬のたてがみを編んでいると、アンドレがクレアに背中を向けたまま少し気まずそうに口を開いた。
「あ…あの……クレアさん、大丈夫なんですか?」
「え?何が?」
クレアはアンドレの質問の意味が分からなくて、聞き返してしまう。
「えと…俺と2人でいる所を…リヴァイ兵長に見つかったら、その…怒られたりしませんか?」
「あ…それは……」
確かに嫉妬深いリヴァイにこの状況を見られたらおそらくきっと機嫌を損ねるだろう。
でも、アンドレはもうリヴァイから直接の罰を受けているのだ。
訓練態度も十分に更生してるのが見て取れるし、馬の編込みを教えるくらい問題ないはずだ。
「た、確かに……不機嫌オーラを出されてしまうかもしれないけど、アンドレはちゃんと兵長の罰を受けた訳だし……それに…もう…あんなこと、しないでしょ?」
「そ、それは…」
アンドレが勢いよく後ろを振り返ると、踏み台を使ってデイジーの左側に立っているクレアと目があった。