第40章 エルヴィン・スミスの表と裏
ー翌朝ー
少し寝不足の身体を起こしてシャワーを浴び、すぐに身支度をして執務室に向かうと、ちょうどリヴァイが扉の前に立っていた。
リヴァイは手に書類を持っている。この様子だとクレアは仕事の手伝いを終えて、食堂に向かったのだろう。
「おはようリヴァイ。待たせて悪かった。」
エルヴィンは小走りをして扉をあけると、リヴァイは目も合わせずズカズカと中には入っていく。
「よぉ、エルヴィン…今日はまたゆっくりなご出勤だな。」
持っていた書類をエルヴィンの机に無造作に置くと、リヴァイは応接セットのソファにドカッと座り脚を組んだ。
「ハハ、そう言ってくれるな。ここ数日連日連夜多忙極まりなかった。こらくらいの寝坊は許してくれ。」
「あぁ……それはご苦労だったな。」
リヴァイはエルヴィンの“資金集め”の事情を知っている数少ない人数の内の1人だ。
自分も過去に一度やらされたことがあったが、生理的に受け付けずそれっきりエルヴィンの“資金集め”に付き添うことはなくなった。
そのため“資金集め”はエルヴィン1人に任せている状態だ。
少なからずその状態に若干の後ろめたさを感じていたリヴァイは連日多忙だったエルヴィンの顔を直視できなかった。しかしそれはエルヴィンも同じ気持ちである。
多忙故に疲労が溜まってたとはいえ、リヴァイの大切な恋人を妄想の中で汚してしまったのだから。
お互い少し遠慮がちに仕事の話をしていたら、執務室に扉をノックする乾いた音が響いた。
「失礼します。クレア・トートです。」
ノックをしたのはまさかのクレアだった。
「クレアか、入ってくれ。」
入ってきたクレアは大きな麻袋を抱えながら数枚の書類を持っていた。
「おはようございます団長。あっ!!兵長もいらっしゃったんですね!!」
一旦荷物を置いて敬礼をすると、クレアほ書類を手に2人が座っているソファまで足を運んだ。