第40章 エルヴィン・スミスの表と裏
髪に落とすキスは思慕の現れ。
恋しく思う、愛おしくてたまらないといった意味だが、エルヴィンはそんな意味など考えずに本能のままにしたのだろう。
だが、あながち間違ってはいない。
エルヴィンはリヴァイを想い、2人の恋の成就を願っていた。しかし、2人が結ばれた後も、クレアを心の隅で密かに想い慕っていたのだ。
それは清廉すぎるほど純粋に、密やかに。
どんなに自身の黒い感情がエルヴィンを誘惑しようと、その鍛え抜かれた精神力で何度も何度も振り払った。
だが、だが今夜はいいだろうか……
訓練兵の勧誘講義に出向き、王都での会議では奮闘し、兵団のための資金援助にも精を出し、懸命に兵団と自身の野望のため尽くしてきた。
“なんでもします!”
自身をまっすぐな眼差しで見つめてそう言ったクレア。
今だけ、そのセリフを自分の都合の良いように解釈してもいいだろうか……
エルヴィンの頭の中を占める思考がクレア一色になると、自然と下半身の一部が熱を持ち膨張を始める。
ここまできてしまえばもう後戻りはできない。
エルヴィンは手早くベルトを外して硬く隆起しているモノを取り出すと自身の右手でグッと握り瞼を閉じた。
かたく閉じた瞼の裏からは柔らかく微笑む小さくて幼いクレアの姿。
きつく抱きしめてしまえば簡単に手折れてしまいそうな華奢な身体。
エルヴィンは、入団当時の気鬱な顔か、優しく笑う様になった顔しか知らない。
だが今だけはリヴァイではなく、自分の下で快楽に溺れ、嬌声を上げながら悶え乱れて欲しい。
「あぁ……はぁ……気持ち…いい…です…団長……」
組み敷いたクレアが自分の腕の中で素直に善がり狂いだす。
脳内のクレアは従順にエルヴィンが打ち付ける熱源を欲しがり喘ぎだした。
それだけでもうすでに射精感を我慢することができない。
「いやぁ……!あぁん…エルヴィン団長…もう…もう……」
細い腰を掴み、猛っている獣の様な自身のモノを激しく往来し続ければ、クレアは蜂蜜色のなめらかな長い髪を振り乱しながらガクガクと震えだした。
髪を振り乱せば切なく香るキンモクセイの香り。
この香りはより一層エルヴィンの情欲を駆り立てた。