第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
「……?!」
は、はいーーーー?!
兵長はいったい何を言いだすのだ……
腕だけならまだしも背中や腰や内腿は服をめくらなくては塗れないのだ……
「おい、なんか文句あるのか?ここで塗らねぇならかさねぇぞ。」
なんておかしなことを言ってるんだと思ったが、よくよく考えれば、リヴァイの言うこともわかる。
自室に戻ってもフレイアに手伝ってもらうことはできない。自分だけ兵長から特別な扱いをうけたようにとられるのはまずい…だからといってハンジも大事な精製中だ。
そうなるとここで事を済ませる以外、なさそうな気がした。
「………わかりました。そうさせていただきます。」
少し距離を置いてリヴァイの隣に座ったが、隣の主はどいてくれる様子がない。
「あの……兵長。私、この薬塗りたいんですけど…」
「あぁ…結構なことだな…そうしろ。」
リヴァイはどこから取り出したのか、小さな本を片手で開くと、脚を組み、涼し気な顔で読み始めた。
リヴァイ相手にどいてくれなんて言えるわけがない。
ここはリヴァイの自室なのだ。
クレアは脱衣所に場所を変えようかとも思ったが、かえって「警戒している」と思われても、失礼にあたるのではないかと考えてしまい、しかたなくこのままソファで薬を塗ることにした。
まず、スカートの丈を膝上まで捲り、軟膏を手に取ると内腿の付け根から膝のあたりまで伸ばして塗っていく。硬めの軟膏で少し強めにこすらないとなかなかうまく塗れない。
こすればこするほど激痛が走る。
思わず、あられでもない声が出てしまった。
「う…!あぁ……いぃ…」
一方、リヴァイは目線は本に向けてはいたが、頭はクレアのことでいっぱいだった。
ここはクレアにとっては上官の自室だ。どいてくれと言い出すことはないと思っていた。
だからいたしかたなく脱衣所にでも行くかと思ったが、クレアは少し難しげな顔で考えた後、突然リヴァイの横でスカートを捲りだしたのだ。
一瞬ギョッとしたが、おおかた警戒した態度をとるのは失礼だろうとクレアなりに考えたのだろう。
それにしても大胆なことをしてくれる…
さすがはハンジ班の奇行種だな…
リヴァイは自身の中に火がついたのを感じた。