第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
クレアはオズオズとシャワー室からでると、リヴァイのもとにむかった。
何もやましい事がないのはさっきの口ぶりで理解できている。
でも、自分だけこんな無防備な姿にさせられたのだ。ドキドキしない方がおかしい。
別に、何かを期待しているわけではない。
確か、リヴァイはいいものをやると言っていた。
何か自分にくれるものがあるのだろうか。
黙ったままのこの沈黙も息苦しい…
思い切ってクレアから話かけた。
「兵長……私に何かくれるのですか?」
「…………!」
そうだ、リヴァイはクレアに渡してやろうと思った物があったのだ。
シャワー室からでてきたクレアは、薄いオレンジ色のロングワンピースの部屋着をきていた。
濡れた蜂蜜色の髪色によく似合っている。
兵服ではない、風呂上がりのクレアは無防備で、とてもか弱い存在に見えた。
とても巨人討伐の訓練をうけているようには見えない、ただの少女だ。
そんなクレアが少し不安げな表情でこっちに向かってくる。
何も感じない方がおかしい。
「あぁ、これだ…」
リヴァイは平静を装いながら大きめのチューブ状のものをヒョイとクレアに投げた。
両手で受け止めしげしげと見てみるが、これが何なのかよく分からない。
大きめの絵の具のチューブにもみえるが、馬の絵が描かれている。
「兵長……これはいったい…?」
「今のお前が困っている事を当ててやろう。今日の馬当番で腕、背中、腰、そして内腿が疲労で激痛だな?」
「は、はい…」
「それは、馬の筋肉疲労に使う軟膏だ。壁外調査で脚を痛めたり、腰を痛めた馬の治療によく使う。」
「…………」
「だが、人間の筋肉疲労にも使えるんだ。あまり知られていないがな……薬品の他に唐辛子の成分も使っていて、血の流れを促進するから風呂の後に使うとちょうどいいんだ。明日の朝にはだいぶ改善されてるぞ。」
「あ、ありがとうございます!さっそくお借りしますね!」
クレアはお辞儀をして、部屋を出て行こうとしたが、パシッと手を掴まれ阻止されてしまった。
「何処へいく?」
「え…?自室に戻って使おうかと………」
「あぁ?!ダメだ。ここで塗っていけ…」