第39章 嗚呼、我が愛しき分隊長
「クソメガネ…それをいうなら童貞の方だ!しかもなれるのは神ではなく魔法使いだ。まぁバカげた迷信だがな。だからお前は何も心配しなくてもただのイカれた処女のままだ。安心しろ。」
「なんだよリヴァイ!アラサー処女舐めんなよ!!」
「ちょっ!ちょっと、兵長もハンジさんも!!よして下さい!仰っしゃりたい事は分からなくもないですが、もっと慎ましい言葉を選んでくださいといつも言ってるじゃありませんか!!」
「はぁ?!なんだよ慎ましい言い方って。じゃあお前はなんて言うんだ?」
「う……」
痛いところを突かれてしまい、思わず考え込んでしまう。
「えーと…その…お、お…未通娘(おとめ)…とかでしょうか…?」
その瞬間にエルヴィンとミケとモブリットが飲みかけの酒を吹き出したのは言うまでもないだろう。
「クレア……それは…」
「おい……じじくせぇ言い方はかえってやらしく聞こえるからやめろと前に言わなかったか??ったく同衾(どうきん)だの未通娘(おとめ)だのいったいそんな言葉、どこから仕入れてくるんだよ…」
「や、やっぱり今のは無しです!!皆さん忘れて下さい!!」
クレアは自分の失言に顔を真っ赤にすると、ブンブンと両手を振りながら忘れてくれと懇願した。
「でさー、ミケったらそん時……になって……してさー」
「えー?!」
「ハンジ…もうやめてくれ……」
「それでさー、エルヴィンも……って、……でさー!」
「ハンジ……」
その後もハンジの爆弾発言に幹部組の暴露話、リヴァイとハンジの言い合いやらなんやらで、楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
「あ……ハンジさん?」
気付けば徹夜が続いていたハンジは、ソファにもたれかかって静かな寝息をたてていた。
「何も喋らなくなったなと思ったら寝てるって……ったく子供かこいつは……」
ミケが鼻で笑いながらぼやいた。
「分隊長、いつもの事ですが徹夜が続いてましたので……こうなるだろうとは思ってましたが…予想通りでしたね。」
そして皆が時計に目をやれば随分といい時間だった。