第39章 嗚呼、我が愛しき分隊長
主役も寝てしまい、クレアが作った料理も見事に完食されたとなれば、場は自然とお開きモードだ。
皆であいた皿をカートに戻すと、最後にモブリットがハンジを抱えてベットに寝かせてやるが、モゾモゾと身じろぎしながら何か言いだした。
「………みんな……本当に…ありがとう……クレアの……巨人……最高……滾る………」
そんなハンジの寝言を聞いて、皆ヤレヤレといった表情で軽くため息をつきながらその寝顔を見つめている。
「気持ち悪い寝言言うんじゃねぇよ。」
いつもいつも周りを振りまわすハンジだが、今夜も例外なく振りまわしてくれた。
しかし、それも皆慣れたものだ。
ここにいるメンバーは、結局文句を言いながらもいつもハンジに付き合っている。
自分とはまた違った深い絆で結ばれているのだろう。
クレアは彼らの絆の深さを身を持って感じた。
そんな所もハンジの魅力の1つなのだと思うと、自然と胸は高鳴りより一層ハンジへの敬愛の想いが増していくのを全身で実感する。
「はぁ……やっぱりハンジさん…素敵すぎます!」
「ハハッ、クレアには敵わないな。」
「どうした奇行種…さらに頭の中おかしくしたか?」
つい漏れ出てしまった呟きに次々と突っ込みが入ったが、クレアはそれすらもハンジへの愛情の裏返しに聞こえてしまい気持は高揚する一方だった。
「そんなことないです!!今夜はハンジさんの魅力をより一層感じる事のできる素晴らしいパーティーになりました。皆様ご参加ありがとうございました!」
すると、クレアは敬礼をし、カートを引きながら意気揚々と調理場へと去っていく。
どうか…どうかハンジはこのまま変わらずに自分達を振りまわしてくれる存在であって欲しい。
その周りを振りまわせる程のパワーこそが、調査兵団の原動力にもなってるに違いないのだから。
クレアそんなハンジにいつまででもついて行きたいと改めて思った。
しかし、そんな事を考えているクレアの後ろ姿を見つめながら皆は思った事だろう。
ーハンジ班の奇行種、恐るべしー と……。