第39章 嗚呼、我が愛しき分隊長
「…………」
しょんぼりとした姿が小動物のように可愛く、思わずリヴァイの男の部分は熱を上げそうになるが、酔っ払ってしまうと奇行種クレアは何をしだすかわからない。
ここはかわいそうだが、心を鬼にするしかなかった。
「あ、そ、それならコレはどうですか?分隊長が熟成させておいた苺酒がちょうど飲み頃なんです。これならクレアでも大丈夫でしょう……」
「モブリットさん、こちらも持ってきてたんですね!!えっと……兵長……あの…」
クレアはチラリとリヴァイを見つめた。
許しが欲しいのだろう。
「おいリヴァイ、酒くらい好きに飲ませてやれよ。」
「チッ……ミケ、うるせーよ。」
そんなことリヴァイは分かっていたが、酒を飲ませたくない理由は昨年のトラウマ事件以外にもあったのだ。
クレアは酔って奇行に走る事もあるが、いつも以上に無邪気に振る舞う姿はとにかく終始隙だらけ。
言ってしまえば可愛すぎるのだ。
そんな姿を自分以外の男の目に触れさせたくなどない。
だからといって、そんな事をここにいるメンツに堂々と言えるわけもないし、このまま飲酒を禁止すれば自分は只の面倒くさい束縛男とブーイングが入るだろう。
しかし、この苺酒もあのハンジの部屋にあったホワイトリカーを使って漬けてあるのだ。
決してアルコール度数が低いわけではない。
だが、束縛男と罵られるのは御免だ。
リヴァイはクレアの飲酒を許してやる他なかった。
「…わかった…それなら苺酒にしておけ。ただこれもアルコール度数は低くない。飲みすぎるなよ。」
「は、はい!ありがとうございます!」
そう言うと、クレアは満面の笑みでリヴァイに礼を言った。
全てのグラスに注ぎ終わると、やっと乾杯だ。
今年もエルヴィンが乾杯の音頭をとることになった。
「ハンジ、君の知識欲と研究熱心は感心するが、来年私の部屋にカマキリの幼虫をぶちまけるのはやめてくれよ。乾杯!!」
「えーー!!なんだよソレー!まだ昨年の方がよかったよー!」
ブーブーと文句を言いながらも皆でグラスを鳴らせばハンジのパーティーは楽しい雰囲気で無事に開催された。