第39章 嗚呼、我が愛しき分隊長
「えぇぇぇぇ!!」
目の前には美味しそうなご馳走が並べられていて、その応接セットのソファにはそれぞれリヴァイにエルヴィンにミケが着席している。
間取りや本棚の様子を見る限り、自分の部屋に見えなくもないが、何かがおかしい。
そう!
異常なまでに掃除をされているのだ。
いったい何が始まるのだ。
ハンジが問いかけようとした時だった。
「ハンジさーーーーん!!お誕生日!!おめでとうございまーーーす!!」
クレアの甲高い声を合図に全員がハンジに向かってクラッカーを鳴らした。
パン!パン!パン!パン!パーン!
「ギャッ!!ギャーーーー!!」
ハンジは大声を上げて驚いたが、クラッカーのテープが頭の上に乗ったり、メガネに引っかかったりと、予想以上の笑いを皆に提供してくれた。
「あれ?!そうか…私の誕生日か……アハ…アハハハ!!すっかり忘れてたよ!みんなありがとう!」
苦笑いをしながら礼を言うハンジに作戦は大成功と、クレアとモブリットは大満足だった。
「ハンジさん!乾杯しましょう!!」
「う、うん!!」
ハンジの肩を後ろからグイグイ押して座らせると、モブリットがハンジの大好きな酒を出し、皆のグラスに注いだ。
「おい待て、モブリット……」
しかし、モブリットが最後のクレアのグラスに注ごうとすると、勢いよく遮られてしまった。
「兵長??」
「コイツにこの酒を飲ませるのはやめろ。昨年の惨劇を忘れた訳じゃねぇよな?」
「そ、それは……」
昨年の惨劇……
この強い酒に酔ったクレアによってリヴァイとエルヴィンはトラウマが残る程の経験をしたのだ。
味は確かに美味いが、それをクレアに飲ませる訳にはいかなかった。
「えー?兵長ひどいです…私だけないなんて……」
クレアは少ししょんぼりとしてしまった。