第39章 嗚呼、我が愛しき分隊長
「も、もちろんです兵長!ハンジさんのために1体は作りましたが…群れは作っていません…」
「そうか…ならいい。」
直前まで確認するとは、リヴァイはよっぽど昨年の事がトラウマな様だ。
「ずいぶん美味そうな匂いだな。ハンジはいつくるんだ?」
鼻のきくミケにはクレアの作った料理が食べなくても美味いと分かったみたいだ。
スンスンと匂いをかいでは口元が緩んでいる。
「今、モブリットさんが旧舎の執務室でいつも通りの仕事を装いながら引き止めてくれています。この料理をテーブルに並べたら呼びに行ってきます。」
「そうか、では早く準備をしてしまおう。カギはあいてるのか?」
「はい!夕方にこっそりとモブリットさんがあけておいてくれたので入れます。」
「そうか…」
そう言ってエルヴィンがドアノブに手をかければ、扉は引っかかることなくスッと開いた。
ーカチャー
「おい…これはいったいどういう状況だ……」
リヴァイが目にしたもの。
それはキレイに整理整頓、掃除がされたハンジの部屋だった。
「そういえば、兵長にはまだお話してませんでしたね!」
「!?」
「実は昼休みの間に、私がこっそりと…且つ大急ぎで掃除をしたんです。」
「お前が1人で…か?」
エルヴィンもリヴァイもミケもハンジの部屋の汚さは知りすぎているほど知っている。
とても1時間でピカピカにできるほどのヌルい汚さではない。
「さすがに大変でしたけど……皆様を招待した以上責任もありますし、なんとかやりきりました!」
「そうだったのか…でもそもそもなんで会場をハンジの自室にしたんだ?モブリットの部屋でもよかったんじゃないのか?」
ミケが痛い所を突っ込んでくれた。
「う……それはですね…モブリットさんの部屋でも良かったのですが、応接セットがあるのはハンジさんの部屋の方ですし、あと…飲みすぎて寝てしまった時、すぐベッドに寝かせられて楽なので……」
クレアは苦笑いをしながら答えた。
「まぁ…確かにな……」
皆納得した様子だ。