第39章 嗚呼、我が愛しき分隊長
「ナイスタイミングだったな!」
「モブリットさん!大丈夫でしたか?」
「あぁ、分隊長には先に食堂に向かってもらったから俺もすぐに向かう。後は頼んだぞ?!」
「はい!!任せてください!!」
クレアはモブリットに敬礼をすると走って目的地まで向かった。
クレアの向かった場所。
それはハンジの自室だ。
合鍵を持っているモブリットに鍵をあけておいてもらい、昼休みの1時間を使ってクレアが掃除を済ませるという作戦だったのだ。
本来ならモブリットと2人で掃除をしたいところだったが、ハンジを引き止めておく人員が必要だったため、掃除役はクレアがかってでたのだ。
「ハンジさ〜ん…失礼しますね……」
周りに誰もいない事を確認し、挨拶をしながらそーっと入るが当然ハンジはいない。
クレアはパタンと扉を閉めると、モブリットが用意しておいてくれたバケツとハタキと雑巾を使って早速取り掛かった。
だが、あのハンジの部屋だ。
当然だが一筋縄ではいかなかった。
「う……うぁ!!何この埃!!コホッ!コホッ!」
「キャア!本が…本が…襲ってくる…!!」
「何これ!?もしかしてゴキ○リの死骸?!!」
「もう!!これいつのパンですかー!?!」
「え?!カマキリーーー?!」
ありとあらゆるモノ達に何度も腰を抜かしそうになったが、時間は限られている。
特に皆で座る応接セットまわりはキレイにしておかなければ食事も何もできやしない。
クレアはいつも以上に一心不乱と身体を動かすと、なんとか訓練が再開される前に部屋を出ることができた。
あとはモブリットがカギをかけて訓練に戻れば作戦は成功だ。
クレアは昼食を抜いてしまったため、前回の壁外調査で余った野戦食をポケットから出すと、かぶりつきながら集合場所へと向かった。
集合場所に着くと先にモブリットとハンジが到着していた。モブリットの様子を見る限りだと、特にトラブルは起きていないのだろう。
ひとまずホッと胸を撫で下ろすと、クレアは午後の訓練も精力的にこなしていった。