第39章 嗚呼、我が愛しき分隊長
「今度、熱が燻った時のために1人で発散できる方法を教えてやるからそのつもりでいろよ…」
「!!兵長!!」
あまりの爆弾発言に大声を上げてしまったが、リヴァイはニヤリと悪い笑みを浮かべると、扉を閉めてしまった。
“躾”の後はいったいどんな事が待ち受けているのだろうか……
少し背筋がゾッとしたが、今はハンジの部屋に行かなくては………
クレアは頬をペチペチと叩いて気持ちを切り替えると、ハンジが待っている旧舎の執務室へと急いだ。
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料理のメニュー変更や、モブリットとの打ち合わせなどしていたら、あっという間にハンジの誕生日がやってきた。
「クレアちゃん!!頼まれてた物、しっかり買っておいたからね!!」
「あ、ありがとうございます!助かりました!」
朝食を食べ終えたクレアが食器を片付けていると、食堂の職員にコソッと声をかけられた。
今年のハンジの誕生日は当日も前日も訓練日であったため、料理の材料を買いに行く時間がなかった。
しかし、思い切って調理場の職員に相談したところ、時間に都合のつく職員が、クレアに代わって買い出しに行ってくれたのだ。
これで心置きなく料理は作れるが、まだ1つ、クレアには乗り越えなくてはならない関門があった。
そう、それはハンジの部屋の用意だ。
しかし、それは今できる事ではない。
そのためクレアは作戦が上手くいくことを祈りながらひとまずは訓練の準備に向かった。
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午前の訓練が終了し、食堂が兵士達で賑わう時刻になる頃、クレアはある場所に向かって全速力で走っていた。
「あっ!!」
すると、遠目からある人物がこちらに向かってくるのが見えてくる。
「クレアー!!」
「モブリットさん!」
クレアの名を呼んだのはモブリットだった。