第39章 嗚呼、我が愛しき分隊長
準備金を貰った事は別に隠すつもりなどなかったクレアはエルヴィンから貰った金と、ミケから貰った金について1から説明をした。
「私、ミケさんとはあまり話したことがなかったので、色々と親切にしてもらったのが嬉しくてつい…手を握ってお礼を言ってしまいました……なので何もやましいことなど……ありません……」
「はぁ……」
クレアの言ったことにおそらく嘘はないだろう。
しかし、砂糖菓子のように白くて柔らかいこの手で、あろうことかミケの手を握っていた。
その上、キラキラとした無邪気な笑顔を向けている姿を見てしまったら、途端に自分の中の黒いモノが暴走しだしてしまったのだ。
「へ、へいちょう……?」
盛大なため息をついたリヴァイに、クレアは不安でいっぱいになった蒼い瞳を揺らした。
「どんな状況だったのかはひとまずわかった。次はお前に言いたい事がある……」
「な、なんでしょうか……?」
クレアは全身に緊張が走りゴクリと唾を飲み込んだ。
「お前は何をするにも隙だらけなんだ!あの頭の中はエロい事しか考えてないムッツリのミケの事だ。あんな事したら今夜のオカズにされちまうだろうが!」
「オ、オカズって……そんな……」
そんな事無いと言おうとしたが、以前にハンジからミケはムッツリだと聞いていた為、きっぱりと否定をする言葉が出てこなかった。
「ミケだけじゃねぇ…アンドレだってそうだ、お前をエロい目で見てる野郎はこの兵団内だけでも結構いる。あまり無防備に振る舞うのはやめろ。」
「そ、そんなエロい目だなんて…こんなチビで子供みたいな体型の私に誰がエロい目で見るんですか…」
クレアは自分の子供っぽい容姿や体型が昔からコンプレックスだったため、リヴァイの言うことがイマイチピンとこない。
「はぁ……これだからこじらせ鈍感奇行種は手に負えねぇ……」
しかし、クレアは子供と大人の要素を併せ持ち、引き寄せられる様な独特の魅力を放っている。
それは、たまらなく男の欲望に火をつけるのだ。
現にミケだって幼い顔立ちのクレアから手を握られてしまい思わず変な妄想をしたに違いない。
そこに気づかないクレアにリヴァイは苛立ちを隠せなかった。