第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
「ごめんごめん!これ、調査兵団の名物洗礼みたいなものなんだよね。やっぱりあれはきついよねー。でもあのくらい乗りこなせないと、壁外はキツイよ!立体機動の技術ももちろんだけど、毎年、この騎乗訓練を、新兵全員がやりこなせるようになってから壁外調査の日程が決まるくらいだからね。」
「そうだったんですね……」
「クレア、来てもらって早々悪いんだけど、今日はもう上がって寝たほうがいい!じゃないと明日本当にヤバイから!わかったね?」
「はい……」
昨日の威勢はどこへやら。
今のクレアは立ってるのもやっとだったため、素直にハンジの言うことを聞いて自室へ戻ることにした。
いつもはたいした距離でもないのに、今日はやけに廊下が長く感じる。
幹部の執務室エリアをノロノロと歩いていたところで、1つの扉が開いた。
──ガチャ──
「リヴァイ兵長………」
開いた扉はリヴァイの執務室のものだった。
「よぉ奇行種、いいツラしてんじゃねぇか。馬当番は、ずいぶんと楽しかったみたいだな。」
「…それならハンジさんにも言われましたよ……馬当番があんなにきついとは思いませんでした。今日はもう寝ていいと言われたのでお風呂に入って寝ます…」
「そうか、手に持ってる荷物は着替えか?」
「そうですけど……」
「いいものをやる。ついてこい。」
リヴァイは執務室のカギを閉めるとクレアの手首を掴み、歩き始めた。
今きた道のりを戻るかたちになる。この先は幹部の自室エリアだ。
「あぁ、い、痛いです、痛いです!兵長、私今そんなに早く歩けません。」
「うるせぇな、さっさと歩け。」
最奥の角部屋の前にたどりつくと、リヴァイはカギをあけた。
「兵長、ここは…?」
「俺の自室だ。」
「?!?!」
え?えぇぇぇぇぇぇ?!
兵士長ともあろう人が女の兵士を自室に招くなど、普通の事なのであろうか。
ここは断るべきなのか?どうするべきなのか…
クレアは頭が混乱したまま入り口で固まってしまった。
「おい……何かやらしい事でも考えてるような顔だな。」
「へ?!い、いいえ!そんなことはございません!兵長、失礼致します!」
自分は末端の新兵なのだ。
何かあるのかなどと、考える方が失礼だ。