第39章 嗚呼、我が愛しき分隊長
「おいミケ、奇行種!ここでいったいなにしてやがる?!」
「リ、リヴァイ兵長?」
「ハァ………」
現れたのは眉間にシワをよせて思いきり不機嫌オーラを放ったリヴァイであった。
リヴァイの三白眼の瞳には2人が手を握り合っているシーンがバッチリと映っている。
不機嫌なリヴァイの登場によりミケの妄想の爆発は運良く止められたが、この状況を見られた事は決して良くはないだろう。
しかし、ここは奇行種クレア。
「兵長!実は今私、兵長の執務室に伺おうと思ってた所なんです。ここで会えてちょうど良かったです!!」
クレアはもともとエルヴィンの部屋を出た後はリヴァイの執務室に向かう予定だったのだ。
会いたいと思っていた人物の方からやってきてくれるなど、クレアはよっぽど嬉しかったのだろう。
ミケに向けていた笑顔とはまた違った、甘く見つめるような笑顔を見せると、ミケの手をそっと離し、リヴァイの元にかけよった。
「…………………………………ッチ!」
この甘い笑顔は自分だけのモノだ。
色々と尋問したい所だが、ミケにこの顔をいつまでもタダで見せてやるつもりは毛頭ない。
リヴァイはミケに向かって盛大な舌打ちをしてみせた。
すると、ミケは軽く両手を上げて“誤解だ”
という意思表示をし、目を逸らしてフンッと鼻をならした。
「はぁ……お前には聞きたい事と、言いたい事と、ヤリたい事がある……来いっ!!」
そう言い放つとリヴァイはクレアの手首を掴み、ズルズルと引きずるように引っ張って行ってしまった。
「え?兵長??ちょっと待って下さい……ミケさんに……!!」
「アイツとのお喋りはもう終わりだ、さっさと来い!」
「で…でも……」
チラリとミケの方を見ればヤレヤレといった表情でクレアに小さく手を振っているのが見えた。
ちゃんとお礼は言ったのだから問題はないだろうが、リヴァイはいったいどうしたのだ?
クレアは引きずられるように黙って着いていくしかなかった。