第39章 嗚呼、我が愛しき分隊長
「そ、そ、そんな……団長からお金など、受け取れません!!」
もちろんだが、団長からお金など受け取れるわけがなく、クレアは両手をブンブンと振り断った。
「いいんだ、受け取ってくれ。これでハンジの誕生日パーティーのメニューが少しでも華やかになるのなら私も嬉しい。」
「……あ、ありがとうございます……」
そこまで言われてはこれ以上断れない。
クレアは素直にそのお金を受け取った。
「では団長、失礼します。」
クレアはエルヴィンと少しの時間談笑をすると、次の目的の場所へ向かうべく席をたった。
「あぁ、クレアの手料理、楽しみにしているからな。」
「あ、ありがとうございます!ご期待に添える様頑張ります!」
クレアは敬礼をすると、エルヴィンの執務室を後にした。
幹部棟の廊下を小走りで走っていると、遠目にミケの姿が見えた。
「あ……」
実は、ミケも今回の誕生日パーティーの招待客の中に入っているメンバーの1人であったが、クレアはミケとあまり話をしたことがなかった。
フレイアやリリアンからは、とても優しく頼れる上官だという内容の話を何度も聞かされていたが、クレアはまともに話したことがない上に、印象に残ってる事といえば、新兵で入団した時に匂いを嗅がれた事と、リヴァイと想いが通じ合った時にフンと鼻で笑われた事くらいだ。
どう考えてもあまり良い印象ではない。
しかし、ミケだってハンジやリヴァイと共に長年命をかけあって戦ってきた仲だ。
是非とも招待したかった。
本当はリヴァイかモブリットに招待の仲介をお願いしようと思っていたのだが、ここで会えたのも何かの縁だろう。
クレアは勇気を振り絞ってミケの元まで走ると、思い切って声をかけた。
「あ、あの…ミケさん?!」
少しばかり遠慮がちになってしまったが、ミケの耳にはちゃんと届いたようで、すぐにクレアの方に振り返った。