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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第38章 “キミ”という存在




「……………………」



あんなにそっくりだと思っていたハンジとタリア。
見た目はそっくりだったが、中身はまったくの別人だ。


今まで姿形全てを重ね合わせていた2人、だがまったく違う人物だと改めて思えば思うほど、そのズレはどんどん大きくなっていき、遂には完全に2つに分離をしてしまった。



「どうしたの?モブリット?」


顔も声も喋り方もハンジにそっくりなタリアが、突然黙ってしまったモブリットを心配して顔を覗き込む。

しかし、頭の中で完全に2人が分離してしまったモブリットには、もうタリアをハンジだと重ねることができなくなってしまった。



「突然黙ってすまなかった。大丈夫だ。」



「本当に大丈夫?やっぱり私の話なんて聞かない方がよかったのよ…」



「いや、そんな事はない。話はこれくらいにしておこうか。」



そう言うとニコリと頷いてタリアは着替えに向かうためベッドから立ち上がった。



「タリア……」



「……何?」



「今日は君の好きな服と、好きな髪型で来てくれないか?もちろん、化粧も好きにしてきてくれて構わない。」



「モブリット?それって……」



「そんな君が見てみたくなった。無理なお願いかい?」


ここは客の要望に応える娼館。
無理な願いなどそうは無い。



「そんなことないわ…少し待っていて。」


“そんな君が見てみたくなった”…それは、自身の想い人と重ねるためではなく、自分を1人の娼婦として見てくれてるという事だろうか?


穏やかに自身を見つめるモブリットの表情だけでは考えている事は分からない。

少し戸惑いながらもタリアは部屋を出ていった。







15分程待っていると、部屋の扉が開きタリアが遠慮がちに入っくる。



「……タリア。」



タリアは身体のラインを強調する様なデザインの深い真紅のロングドレスに、セミロングの髪はおろして毛先を巻いている。

化粧は控えめだが、目元にはラインを引き、まつ毛は上向きにカールをさせている。



その華やかな美しさにモブリットは無意識にゴクリと唾を飲み込んでしまった。



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