第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
馬もここまで小柄な人間は慣れていないのか、少し戸惑っているのだろう。
苦戦しながらもなんとかメニューをこなしていく。
考えてみれば愛馬デイジーも最初はこんな感じだった。今となっては相性抜群だが、壁外にでれば予備の馬に乗らざる負えない場面もでてくる。
どの馬にも確実に乗れるようにならなければ、命に関わるのだ。
クレアの今後の課題になりそうだ。
調度その頃、リヴァイはエルヴィンの執務室にいた。
「おい、エルヴィン、待たせてた書類だ…」
「あぁ、助かったよ。ところでリヴァイ、午前の訓練は出なかったのか?」
「執務が片付かなかったからな。指揮はエルドに任せてきた。」
「そうか。」
エルヴィンはリヴァイが提出した書類に目を通す。
リヴァイはふと窓の外を見ると、クレアが騎乗しているのが目に入った。
気のせいだろうか、心なしか苦戦してるようにも見える。
まぁ無理もない。
おそらくデイジーとの相性は努力の賜物だったのだろう。
調査兵団内で極端に小柄なクレアだ。
馬も戸惑っているはずだ。
壁外調査までに予備馬全頭、自分の命令に対してスムーズに従うようにしなければならない。
さすがの奇行種でも、きつい課題になりそうだな。
そんな事をぼんやり考えていると…
「リヴァイ、クレアが気になるのか?予備馬の騎乗では少し苦戦してるようだな…」
書類に目をやったまま問いかけた。
エルヴィンは、ハンジの話でも聞いていたが、他人にあまり興味をしめさないリヴァイがクレアに対しては特別な目線で見ていることに気づいていた。
「…………」
図星をつかれてしまい、一瞬無言になってしまう。
「はっ、お前には関係ないだろ…」
苦し紛れの反論だ。
「ハハハ、まぁいい。クレアは可愛いからな。他の男兵士に取られてハンジが乱心しなきゃいいがな。」
少なからず、エルヴィンもクレアに興味を持っている。この件に関しては、自身も気になるところだ。
しかし…
「あのクソメガネを崇拝してる奇行種に限っては余計な世話だろ。」
そうぶっきらぼうに答えると、リヴァイはエルヴィンの執務室を後にした。