第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
しかも、汚れた部分を全て取り出したあとは、厩舎裏側にある新しいオガクズが積んである山まで、何度か一輪車で往復しなくてはならない。
なんとか全員で掃除を終了させたが、ここからが本番なのだ。
だが新兵たちはすでに疲れの色を見せている。
「さぁ、時間がないからどんどん指示をだすよー!」
ハンジが前日の馬の調教日誌の記録を見ながら、次々と指示をだした。
「クレアー!!そこの10頭は放牧だから、モブリットと放牧場に連れて行って!あっ!葦毛のウーランはテンション上がりやすいから気をつけてね!」
「はい!」
「ゲルガーとナナバ班の新兵以外は昨日放牧だった10頭と、レピオス、ステラ、クラリス、アスラン、ビバスを調馬索運動!」
「新兵は残りの馬を馬装して、順次騎乗!」
「「「「はい!!!」」」」
クレアも放牧が終わると馬装に取りかかった。
広場まで連れて行くと、ハンジから調教メニューが出された。
「まずは、常歩(なみあし)で準備運動。その後は軽速歩(けいはやあし)、速歩(はやあし)でしっかりやる気を上げてから駈歩(かけあし)。ここまではハミ受けできる者は積極的にやってくれ!そのあとは停止した状態から駈歩発進、最高速度であの丘の上の木をまわってもどってくる。これを10往復。」
クレアを含め、新兵たちの顔色が一気に曇った…
このメニューを今日騎乗予定の全頭、新兵が乗るのだ。
訓練兵時代ではこんなに長時間馬に乗ることはなかった。
だが、壁外調査では出発から帰還まで馬に乗り続けるのだ。このくらいの調教訓練で音を上げるようでは、壁外にはでられない。
そのため、新兵入団後の馬当番は毎年、新兵が騎乗を担当することになっている。
ヘタすると、立体機動よりキツイかもしれない。
「メニューが終了したら常歩で、クールダウン。その後は私達に馬を預けてくれていい。こちらで手入れをするから新兵はすぐに次の馬の馬装にうつってくれ。」
「「「はい!!!」」」
クレアはすぐに騎乗し、調教を始めたが、なかなかうまく乗りこなす事ができない。
調査兵団の馬たちは基本みな温厚な性格だ。
決して反抗しているわけではないが、なにぶんクレアは小さい。