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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第38章 “キミ”という存在





「ふぅ…これで最後か?」



モブリットは目を通していた最後の書類にサインを入れると、トントンとまとめてからハンジの方へ向かった。






「分隊長?!起きれますか?!」


少し強めに肩を叩くが少しの反応もない。

だがこれもいつもの事だ。



ハンジはメガネをかけたまま開いた本の真ん中に頬を乗せて規則的な寝息を立てている。



モブリットは身体を起こして本を閉じるとハンジを自身の腕に抱き執務室をでた。



「はぁ……」



毎度毎度の事だがろくに睡眠もとらず、実験や研究に励み、燃料切れを起こしては死んだように突然眠ってしまう我が分隊長。


そして、合鍵を渡して自身をベッドまで運ばせるという後始末も部下の、よりによって男の自分に任せるというおまけ付だ。


慕情を抱いていることに気づいているくせに、あたかも知らないフリを貫き通す我が分隊長。


それが最大限の彼女の優しさである事は十分に理解しているつもりだが、ここまで男として意識されていない態度を取られると多少なりとも気分は複雑だ。




──カチャ──


ハンジの自室につけばそっとベッドに降ろして、ブーツを脱がせてやる。


メガネを外してやり薄い掛ふとんをかけると、何日も風呂に入っていないせいか、フワッと汗の匂いが鼻を掠める。

春夏秋冬気候に関係なくハンジは風呂に入らない。

まだまだ若い部類に入る女性としてはあるまじき事であるが、モブリットはハンジの身体から分泌される独特の体臭も汗の匂いもそこまで拒絶する程嫌いではなかった。


だからこそここまで一緒に仕事ができたのだろう。


もちろんキチンと毎日風呂に入ってもらいたいが、そんなズボラな所も含めて我が敬愛する分隊長なのだろうとモブリットは散らかったハンジの部屋を片付けながら考える。


「こんなもんでいいだろう…」


あらかた部屋が片付くと、つい目がいってしまうのは時計の時刻だ。



「…………………」



時計の時刻は11時前だった。



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