第38章 “キミ”という存在
「そういえば、エルドさんも一緒だったのですが、やはり男の子は巨人の討伐の話を聞きたい子が多いみたいで、小さな男の子達に囲まれて質問攻めになってましたよ。」
「エルドはリヴァイ班の精鋭だからな。みんな色んな話を聞きたかったんだろうな。」
「そうですね!でもみんなシガンシナ区の襲撃で両親を失った子供ばかりなのに、巨人に興味を持ってる子供たちが多かった様に思います。どうやったら倒せるのか、とか、立体機動装置の仕組みなんかを聞きたがってました。」
「そうか。それじゃあそこに分隊長がいたら大変だったな?」
モブリットが小声で耳打ちするとクスッっと笑った。
「そうですね…子供達相手に夜中まで喋ってしまいそうですもんね!」
クレアもついつられて笑ってしまった。
「あれ?!」
いつもはこういう時、必ず何かツッコミをいれてくるハンジだが、何故かいつもの様な反応が無い。
まさかと思いハンジの方を見ると………
「はぁぁ……ハンジさーん……」
「分隊長……!」
さっきまで普通に会話をしていたというのに…
ハンジは恒例の燃料切れを起こしていた。
「モブリットさん…どうしましょう?」
「そうだな。精製もまもなく終わるし、これが終わっってから終了にしよう。」
「分かりました。」
クレアはすぐに片付けができるように、小分けの瓶の用意や、使い終わった器具をまとめたりと、今できる事を手早く終わらせていった。
「モブリットさん!片付けまで終了しました!」
クレアが声をかけると、書類に目を通していたモブリットが顔を上げた。
「任せてしまってすまなかった。あとは俺がカギを閉めてでるから先に上がってくれていい。お疲れ様。いつもより早目の解散だ。ゆっくり休んでくれ。」
「ありがとうございます!では失礼します!」
クレアが敬礼をして出ていくと、執務室には寝息を立てて眠るハンジとモブリットの2人きりだ。