第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
温厚な馬はそのまま馬房に入れたまま掃除ができるが、気性の荒い馬は危険なため先に外に出してつないでおく。
モブリットがあらかじめ、気性の荒い馬たちを外にだしといてくれたため、クレアは順番に手前から手をつけた。
「おはよう、えーと、ブライアン。掃除と水換えをさせてね。」
クレアは馬房の表札に書いてある名前を確認すると、優しく声をかけた。
特に警戒はされていない様だ。馬柵棒(ませんぼう)をくぐり、掃除をはじめた。
他の新兵達もそれぞれ始めていたが、なんだか騒がしい声が聞こえてきた。
1人はもしかすると、我が分隊長の声であろうか?
クレアは気になり、ひょこっと馬房から顔をだし通路中程に目をやった。
「ゲルガー!ずっるいよ!なんでいっつもキレイな馬房から掃除するんだよ!たまには汚い所からやれーー!」
「うるせーな、こんなん、早いもん勝ちだ!」
「う!うっわー!超感じ悪い!」
「分隊長!新兵も見てるのでやめてくたさい!」
暴れるハンジを後ろからモブリットが制止をする。
馬にもそれぞれ性格があり、決まった場所にしかボロをしない馬や、お構いなしにボロをしたあげくに、水をまき散らしながら飲む馬もいる。
当然ではあるが、前者の馬房掃除は数分で終わるが、後者の馬房はオガクズをほぼ全取替となるため、非常に疲れる。
そのためいつも最後まで残り、罰ゲーム的な仕事となるのが恒例行事であった。
新兵は上官達の言い合いに、少しオロオロとしたが…
「おい、新兵。あれは毎度毎度の事だから気にしなくていい。さっさと終わらせてしまってくれ。」
手をパンパンと叩きながらナナバが掃除に戻るよう促した。
「おーーい、ハンジとゲルガーもその辺にしとけ!」
クレアは1番隅から順番に掃除をしていったが、4番目の馬房で、例のハズレに当たってしまった。
「……これは。確かにひどいな…」
やるしかないかと、覚悟を決めたが、これは熊手では埒があかない。
クレアは一輪車を馬房の前まで持ってくると、大きめのスコップで濡れたオガクズを全て入れていった。
オガクズ自体は軽いが、水分を含んでいるため無駄に重い。
「うぅ…腕が……」
これは結構キツイ……