第37章 今生きて、此処にいる
「んん……あぁ……あぁん……!!」
消毒という名の愛撫にクレアは頬を染めて軽く息を上げてしまうが、リヴァイはいたって涼しい顔だ。
「次はどこだ…?」
「あ……あの……唇です…」
「キスをされたって事か?」
「は、はい……」
「…そうか…」
そんな事までしやがったのか……
リヴァイの腹の中に沸々と黒いモノが蠢きだす。
「ん……んん………」
クレアの両手を掴み、ベッドに沈めながら強引に唇を奪うと一瞬離して問いかける。
「舌は入れられたのか?」
「えぇ?!…………………は、はい……」
細かな質問に恥ずかしくなり、クレアの返事は段々と小さな声になってしまう。
やってくれるじゃねぇかよ……
リヴァイはクレアの口内に残っているアンドレの感触を全て拭い取るかの様に、自身の舌を侵入させると、隅々まで丁寧に舐め取っていった。
「はぁ……はぁ……」
クレアは深いキスに息を上げてしまったがリヴァイはお構いなしだ。
「まだあるのか?」
「く、首筋に触れられました……それで全部です。」
「そうか……」
リヴァイがクレアの首筋を確認すると、赤い歯型が付いていた。
きっとこのキンモクセイの香りに誘われ、欲望のままに噛み付いたのだろう。
リヴァイの中の蠢く黒い渦は段々と怒りに変わっていく。
「やっぱり削いどきゃよかったな……」
クレアの白くて細い首筋に付いた痛々しい歯型を指でなぞりながら、リヴァイは物騒な発言を実にサラリと言ってのけた。
「へ、兵長………。」
「ハッ、勘違いするな。只の冗談だ。」
クレアはとても冗談には聞こえなかったが、リヴァイはその歯型の付いた首筋に唇を這わせると、その上から自身の赤い所有印をつけ、上書きする様に消してみせた。
「これで、ひとまずはいいだろう。」
リヴァイはクレアの身体に触れた他の男の痕跡を全て自身の手で上書きをすると、気が済んだのか少し口元が緩んだように見えた。