第37章 今生きて、此処にいる
「…か、考える…とは……いったい……」
「お前が今生きて、此処にいる意味だ……」
「生きて……此処に……いる意味……」
「そうだ、お前が生きて此処にいるのは、クレアにこんなフザケた暴力を奮うためか?それとも不名誉な退団命令のもと開拓地に行くためか?それとも…死んでいった班員達を無駄死ににさせるためか……」
そこまでリヴァイが言うと、締め上げていた手を離し、腹に置いていた脚を思い切り振ってアンドレを壁までふき飛ばしてしまった。
「………ガハッ!!!」
体格のいい身体が軽々とふき飛びアンドレは壁に後頭部をぶつけてしまう。
「俺はクレアの想いを踏みにじる事はできない。だから今回だけはエルヴィンに報告しないでおいてやる。そのかわりその頭で良く考えろ。お前が調査兵団を選んだ理由と、今生きて此処にいる意味をな……分からなきゃ分からないで構わん。自主退団でも駐屯兵団でも開拓地にでも好きな所に行きやがれ。」
するとリヴァイはベッドで震えているクレアに近寄り額にキスをすると、自分が羽織らせたジャケットのボタンを止めてやり横抱きに抱き上げた。
クレアはアンドレを直視できなかったのか、視線をそらすように顔をリヴァイの胸に埋めてしまう。
「どんな答えを出すにしても、お前がクレアの想いを裏切った事はタダでは許さないからな…覚えておけよ。」
そしてリヴァイは大事そうにクレアを抱き締めると、アンドレの部屋を出ていった。
再び静まり返る室内。
「…今生きて…此処にいる意味………」
アンドレはリヴァイの言葉が余程胸に刺さったのか、呆然と立ち上がることもできず、流れ出る鼻血を拭うこともできず只々天井を見つめる事しかできなかった。
なんてバカな事をしてしまったんだ。
冷静になればなる程溢れ出る後悔の気持ち。
今更気づいてももう遅いだろうか……。