第37章 今生きて、此処にいる
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リヴァイはクレアの言いつけどおりに仕事をあらかた片付けると、キリの良い所で終わらせることにした。
もしクレアがまだ医務室で仕事をしているなら自室に連れて帰って一緒に眠ろうと考えたリヴァイは執務室のカギをかけると、医務室まで向かって行った。
しかし、そこにクレアの姿はなかった。
医師は夜中の回診の準備を忙しそうにしながら、クレアには心的ダメージの大きかった新兵へ薬を持っていくのを頼んだと言われ、何名か新兵の名前を告げられた。
その名は女が2名、男が3名。
服薬を見届けたら上がるように伝えたと医師は言っていたため、もうクレアは上がって自室でフレイアと共に眠っている可能性もある。
ただなんとなく胸に引っかかるようなものがあり、リヴァイは男の新兵の部屋の前をまわってから自室に戻ることにした。
1人目の部屋の扉の前に立つ。
何も物音がしないためおそらくは睡眠薬で眠りについたのだろう。
そして2人目の部屋。
こちらも同じであった。
3人目に告げられた名前はあのアンドレだ。
ここも同様に静まり返っていればクレアは無事に仕事を終えて休んでると判断していいだろう。
そう思いながらアンドレの部屋が近づいてきたその時だった。
──「アンドレやめて!!!だ、誰かぁ!!!助け…て…」──
「!!!」
なんとなく胸に引っかかった嫌な予感が悪い方向に的中してしまった事にリヴァイは盛大に舌打ちをすると、アンドレの部屋まで走りその扉を力任せに開いた。
扉を開いて目に飛び込んできたのは、クレアをベッドに押し倒しているアンドレだった。
「調子に乗るんじゃねぇぞ…新兵のガキ…!!」
「リ、リヴァイ兵長…!?」
アンドレは青ざめた表情でこちらを振り返り、クレアは服を引きちぎられ、口に布を押し込まれた状態で涙を流している。
リヴァイは怒りの感情が全身を巡り、考えるよりも先に身体が動いていた。