第37章 今生きて、此処にいる
「…………くっ……あぁ!!」
ゾクゾクとした嫌悪感が走る中、必死に頭を働かせると、クレアは顔を少し横に向け、アンドレの耳たぶに思い切り噛み付いた。
「ぐっ………!!」
アンドレの顔が苦痛に歪んだ隙に逃げようとしたが、逆上したアンドレに後ろから腕を掴まれてしまうと、再びベッドに引きずり込まれ乱暴に押し倒されてしまった。
──ドサッ──
「あぁ……」
もうこうなっては大声を出して助けを呼ぶしかなさそうだ。
本当はこんな事、したくはない。
ここで大声を上げて助けを呼んでしまえば、アンドレは最悪の場合、この調査兵団を退団させられてしまうかもしれない。
でもだからといってここでおとなしくアンドレの慰み者になるつもりなど毛頭ない。
クレアは覚悟を決めて声を上げた。
「アンドレやめて!!!だ、誰かぁ!!!助け…て…」
思い切り大きな声で叫ばれたため、驚いたアンドレはその唇を塞ぐために自らの唇を押し当ててクレアを黙らせた。
「ん……んん……!!」
必死に顔を動かし抵抗するが、アンドレはビクともしない。さらには必死に閉じていた唇も、押し広げられてしまいアンドレの舌が口内に侵入して暴れまわった。
軽く酸欠状態になり抵抗のちからが弱くなると、アンドレはクレアのジャケットのポッケに入ってたハンカチを口に突っ込んだ。
ブラジャーを剥ぎ取られ、ズボンのベルトを外される音がする。
叫ぶこともできなくなってしまったクレアはもうダメなのかと悔し涙をこぼした。
だがその時だった。
──バタンッ!!──
「調子に乗るんじゃねぇぞ……新兵のガキが…!」
ノックも無しに思い切り扉が開かれ現れたのは、リヴァイだった。
「リ、リヴァイ兵長……」
まさかのリヴァイの登場に青ざめるアンドレ。
それとは逆に、リヴァイの姿を見て悔し涙とは違う種類の涙を浮べるクレア。
リヴァイはこの状況に隠すことなく怒りをあらわにすると、コツコツとかかとを鳴らしアンドレに近づいていった。