第37章 今生きて、此処にいる
「……あ、アンドレ……?」
いきなり視界がグルリと反転したかと思ったら、ベッドに沈められてしまった。
自分を押し倒した男は愛しいリヴァイではない。
リヴァイよりも体格の大きなアンドレに組み敷かれると、恐怖で身動きがとれなくなってしまった。
クレアの中の本能がこの状況は危険だと警告を鳴らす。
「クレアさん……本当に力になってくれるんですか……?」
「……え??」
鈍感なクレアでも、その次に告げられるであろう言葉になんとなくの想像がつくと、ゾクリと背筋が凍る様な感覚が走った。
「それなら……それなら……このやるせない想いを俺ごと慰めて下さいよ!!」
「………!!」
──慰めになってくれ──
同じような状況で同じような事を言われた事がある。
過去の忌まわしい記憶が再びフラッシュバックをする。
こんな事をしてもなんの慰めにもならない。
忌まわしい記憶がせり上がってくる中でも、クレアはアンドレにはあの2人の様な過ちは絶対に犯して欲しくなかった。
気づけば必死に叫んでいた。
「や、やめてよアンドレ!!こんな事をしたって慰めなんかにならない!」
クレアは心から訴える。
一方、アンドレも頭の何処かではちゃんと分かっていた。クレアの言ってる事が正しいと。
決してきれい事を言っているのではない事も理解していた。
だが、自分の中の弱さが、悔しさが、情けなさが、何かを求めて暴走するのを止められなかった。
これではただの八つ当たりだ。
今ここで止めて謝罪をすればきっと優しいクレアは許してくれるだろう。
しかし、アンドレの中の暴走した負の感情は、そのクレアの優しさに漬け込み想いを爆発させろと脳内に命令を下してしまった。
「や、やめて……キャッ!!キャアアアア!!」
ブチブチと乱暴な音を立ててシャツを引きちぎられてしまえば、クレアの上半身があらわになってしまう。
アンドレは初めて見る女の裸に下半身を熱くさせながら、クレアの小さい乳房を思い切り掴んでみたが、思いもよらぬものが目に入り一瞬我が目を疑った。