第37章 今生きて、此処にいる
「兵長?お目覚めですか?」
目をあけていたリヴァイに気づいたクレアはそっと声をかけた。
「あぁ…寝ちまったみたいだな。どれくらい寝ていたんだ?」
「30分程でしょうか?ちょうど点滴も終わるので、起こそうと思ってた所でした。」
「そうか…」
当然だが縫合の処置は終わっていて、こめかみには新しいガーゼが当てられている。
身体を起こすと先程までの目眩や吐き気がスッキリとなくなっていてその変化にリヴァイ本人が驚いた。
痛みもスッカリなくなっていて顔周りも重くない。
「おい、点滴とはこんなに効果が出るものなのか?だいぶ楽になったぞ…」
「それはよかったです。普通はそこまで大きな効き目はないのですが、やはり人類最強のリヴァイ兵長は違いますね!」
その回復具合に驚いたのはリヴァイだけではない。スッと身体を起こしたリヴァイの顔色は普段と変わらぬ程にまで戻っていたのだ。
ケガの回復まで人類最強なのかとクレアは大変驚いた。
「なんだよ…冷やかしてるのか。」
「そんなことありません…回復が早くて私も驚いたんです。」
するとクレアは立ち上がり、再びリヴァイの前に膝を付くと、今度は針を固定していた包帯をとり、絆創膏をはがし、点滴の針を抜いた。
「お時間とらせてすみません。処置はこれで終了しました。それと、こちらは内服のお薬です。3日分用意しましたので忘れずに服用して下さい。」
「あぁ、わかった。」
「それと、処置はあくまで応急的なものです。失った血液を補充した訳ではないので、今夜はしっかりお食事されて、なるべく早めに休んで下さいね。」
「お前は、まだ仕事があるのか?」
「私はあともう一度医務室に行って、お手伝いがないか先生に確認してから上がろうと思ってます。」
「そうか。」
リヴァイは差し出された薬の袋を受け取り、ソファの横に置くと、向かい合っているクレアの両腕を引いて自身の膝に跨がらせた。
「へ、兵長……?!」
クレアはいきなり視線の交わる距離が縮んで、思わず心臓がドキンと高鳴ってしまった。