第37章 今生きて、此処にいる
「俺の隣に座れ…」
不安げに見つめるクレアをよそに、リヴァイは自分の隣に座れと言い出した。
「え?!私が…座るんですか?」
リヴァイの意図などまったく読めなかったが、何か大事な話でもあるのだろうか。
クレアは手に持っていたハサミを一旦テーブルに置くと、リヴァイの隣に腰掛ようとするが……
「違う、そっちではない。こっちだ。」
いつもの癖でリヴァイの左側に座ろうとしたが、反対側に座れと言われてしまう。
もういったいなんなのだ。
「こ、こちらですね??」
「ああ、そうだ。」
リヴァイの右側に座ると、リヴァイは待っていたとばかりに身体を倒すと、クレアの膝に頭を預けて横になってしまった。
「え?兵長?!」
「この方がやりやすいだろ?」
リヴァイがクレアの方に向くように横たわると、ちょうど傷口が上になる。
確かにこの方がやりやすいかもしれないが、別の意味でやりにくいかもしれない。
しかし、出血のせいで気分が悪いなら横になっていた方が回復も早いだろう。
クレアは自身にそう言い聞かせてハサミを手に取ると、止血帯を切り、患部の確認をした。
「……失礼しますね兵長。……あの、この傷はどこかにぶつけましたか?」
リヴァイはアンドレの救出をした際の状況を詳しく説明をしてやった。
「石にぶつけて切った……そうだったんですね…」
どうりで、傷のまわりが青紫に腫れていると思った。だが、実際に傷はそこまで広くはなく縫合は割とすぐに終わりそうだ。
「麻酔してから縫いますね。」
「痛くするなよ……」
「なんですか?今度は怖いんですか??」
「うるさい、ただの冗談だ。」
クレアが意地悪っぽく突っ込めば、リヴァイはニヤリと笑いながらそっと目を閉じた。
全てを任せてくれてるのだろう。
クレアは局所麻酔の注射を打つと、すぐに縫合に取りかかった。