第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
特にやましいことなどないが、こうも見つめられてしまうと、自分の中に芽生えたリヴァイへの好印象な気持ちを見透かされてしまいそうで、クレアはハラハラとしてしまった。
「顔色は悪くない、隈もできてねぇな……」
親指でクレアの目の下を一度撫でる。
そう言うと、リヴァイは椅子に座り執務を始めた。
「…?!」
今のはなんなんだ……
もしかして、もしかしなくても、兵長は自分の体調を心配してくれたのだろうか…
……この人はいったい、怖い人なのか優しい人なのかどっちなのであろうか。
戸惑ったが、掃除は終了したのだ。
クレアは執務室を出て行こうとした。
「おい、奇行種。今日はゲルガー達と予備馬の当番だったな。」
「は、はい。ハンジさんからはそう聞いています。」
「そうか、せいぜい頑張れよ…」
リヴァイは口角をあげて、ククっと意地悪な笑みをしている。
クレアはリヴァイの言ったことがよく分からなかったが、とりあえず食堂にむかい朝食をとった。
「ねぇ、クレア。そういえばずいぶん早起きよね?何してるの?」
ギクッ……!
クレアはフレイアから、当然の疑問をぶつけられた。
まだ2日とはいえ、起きるとすでに相方がいないのだ。どこで何をしているのか疑問に思うのはごく自然のことだ。
でもいくら同室の相方でもリヴァイの事を話すわけにはいかない。
末端の新兵が、兵士長からカギを預かって掃除をしにいってるなど、不自然きわまりない。
そして、その理由も特例の事情を孕んでるため話すことができない。
「え、あ、えーと………私、訓練兵の時から毎朝自主練してたから勝手に目が覚めちゃってね……筋トレしたり、デイジーの様子見にいったりしてるの……」
嘘をつくのは心苦しかったが仕方がない。
「えー?!そうだったの?首席で卒業できる人はやっぱりすごいなぁ。私なんて、クタクタで、起床の鐘がなるまで起きられないわ…」
「そ、そのうち慣れるから大丈夫大丈夫!じゃっ!ごめん!私先に行くね!」
嘘をついてしまった気まずさから早々に席をたってしまった。
デイジーの世話を早めに終わらせてしまおうと、食堂を出たところで、ハンジとばったり会った。
「ハンジさん!おはようございます!」