第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
「あぁ、悪かったな、1m級の奇行種…」
「それも嫌です。」
「なんだよ。クソメガネ崇拝者がいいか?」
「嫌です!」
「わがままなやつだな…モブリット2号でいいだろう…」
なんでこうも、嫌な呼び方がスラスラとでてくるのだ…それと、なぜか私がわがままな位置づけになっている…?
「はぁ……もう奇行種でいいです…」
クレアは溜め息まじりに答えた。
「そうか。」
「それに、作ってたのはハンジさん特製の激アツ媚薬です。エロ薬ではありません!」
「おい…どっちも一緒だろ……」
「エロ薬なんてそんな粗末な言い方はやめてください。あの薬はハンジさんの頭脳と閃きの結晶ですから。」
「そうかよ…それにしても、お前、今日は早上がりなんだろ?もうさっさと寝ろ。明日も遅れるんじゃねぇぞ。」
「………え?なんで私が早く上がったってわかるんですか?」
「…あのクソメガネは新兵に夜中の作業を無理にやらせたりはしねぇ。そういうやつだ。おおかたしばらくは早く休むのも訓練のうちだ、とか言われたんだろ…」
そう言うと、リヴァイは大浴場に入って行ってしまった。
クレアは唖然とした…
ハンジとリヴァイは、お互い遠慮のない仲には見えていたが、あの粗暴なリヴァイがハンジのことをよく理解しているのには、とても驚いた。
今までは口が悪くて意地悪な印象しかなかったが、ほんの少しは優しいところもあるのであろうか。
何がともあれ、尊敬してやまないハンジの事を、あのリヴァイが、口は悪くてもよく理解をしているようだった。
それだけでもなんだかリヴァイを見る目が少し変わりそうだ。
翌日、朝方は少し眠かったが、リヴァイの執務室を掃除しているうちに目はすっかり覚めた。
きっとそのうちに慣れるであろう。
掃除を終えたところで、リヴァイが入ってきた。
「あ、兵長。おはようございます。」
無言で一通りのチェックが済むと、リヴァイはクレアの顔を覗き込んだ。
昨夜、クレアの中には、リヴァイに対してほんの少しであるが、好印象が芽生えていた。
そのためか、今朝の掃除はあまり憂鬱には感じなかった。
でも、いきなり近くで顔を覗き込まれてしまうと、たじろいでしまう。
「へ、兵長…何か私の顔についてますか…」